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2017 年度 実施状況報告書

戦前の社会事業研究所が果たした役割に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K13878
研究機関愛知県立大学

研究代表者

渡邊 かおり  愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (70595438)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード社会事業研究所 / 社会事業 / 浦辺史 / 天達忠雄 / 重田信一 / 農村調査 / 治安維持法
研究実績の概要

本研究は、1934年12月に財団法人中央社会事業協会に付属する形で開所された社会事業研究所における活動に焦点を当てている。
その主たる研究課題は2つあり、1点目は社会事業研究所という組織の把握と、所員たちがどのような研究を行ったのかという活動の全体像を明らかにすることである(研究課題1)。たとえば、社会事業研究所が実施していた社会事業研究生制度は、戦後に日本社会事業大学で同様の制度として設けられ、そのカリキュラムは社会事業教育の参考にもされるなど、戦前戦後を通じて社会事業の分野に大きな影響を与えている。このことを踏まえ、社会事業研究所が具体的にどのような研究や活動を行ってきたかについての分析を行う。
2点目の課題は、戦時体制下で社会事業研究所の一部の所員が特高警察に検挙されたが、それが社会事業の歴史においてどのような意味をなすのかについて分析することである(研究課題2)。社会事業の領域においては公職追放の形で戦争責任をとった者はなく、戦時体制に協力した人々と、「左翼」とみなされて戦時中に捕らわれた元所員たちが、ともに戦後の社会福祉を作ることとなった。本研究では、社会事業研究所の所員らが検挙された理由や経緯の分析と、その事実が社会事業の歴史においてどのように位置づけられるのかについての考察を行う。
研究初年度であった平成29年度は、雑誌『社会事業』の購入や文献収集を中心に行った。また、主に研究課題2との関連で、社会事業研究所所員となる以前の天達忠雄に焦点を当てた研究を行い、学会での報告と論文の投稿を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度は、社会事業史学会にて「下関における天達忠雄の社会活動―1930年代前半の労働運動―」というタイトルで発表を行った。天達忠雄は、明治学院で社会事業を学んだ後、社会事業研究所が実施していた社会事業研究生制度を経て社会事業研究所に就職し、戦時中に検挙されたという経歴を持つ、本研究におけるキーパーソンの1人である。また、この学会報告の一部を論文としても発表した。

今後の研究の推進方策

雑誌『社会事業』第26巻~第46巻は次年度に購入予定であるという資料収集の状況を踏まえた上で、平成30年度は現在までにある程度文献が集まっている研究課題2について主に取り組む予定である。具体的には、社会事業史学会における発表と、そこでの議論をもとに研究内容を再考した上で論文の投稿を行う。

次年度使用額が生じた理由

雑誌『社会事業』の第1巻~第25巻をまとめて購入して分析を進めたために、他の文献の購入までほとんどいたらなかったこと、旅費が予定より削減できたことを理由に残額が出た。次年度は雑誌『社会事業』第26巻~第46巻や関連文献の購入のために物品費を、学会発表や学会参加、文献収集のために旅費を使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 「文化活動から労働運動へ―天達忠雄の青年期の活動に焦点をあてて―」2018

    • 著者名/発表者名
      渡邊かおり
    • 雑誌名

      『愛知県立大学教育学部論集』

      巻: 66 ページ: 109-116

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 「下関における天達忠雄の社会活動―1930年代前半の労働運動―」2017

    • 著者名/発表者名
      渡邊かおり
    • 学会等名
      社会事業史学会第45回大会(長野大学)

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公開日: 2018-12-17  

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