医療的ケアが必要な重度障害者が住みなれた地域で生活できる支援策を検討することをねらいに、グループホームでの医療的ケアの実態と課題を明らかにすることを目的とした。研究デザインは横断的研究とした。 重度の障害者への支援経験があるグループホームの支援者に対し、半構造化面接によるインタビュー調査を実施した。得られたデータについて内容分析を行ったところ、利用者の医療的なニーズへの対応が事業所の努力によって何とかなされているという実態があった。 また、医療的ニーズを有した障害者の地域移行を成立させる要件を探るために、全国のグループホームに対して無記名自記式質問紙を用い郵送法にて調査を行った。医療的ケア実施の可否を従属変数、医療的ケアに関わる支援実施の影響度合いを独立変数とし、分析を行った。医療的ニーズを有した障害者の地域生活に影響を及ぼすものとして、「安全に支援するための人、環境、お金」「自分らしく生活できる環境」「地域、家族との繋がり」が挙げられ、これらを整備することや保障することが障害者の地域生活移行に関連する可能性が示唆された。以上のことから、研究全体を通して、利用者がグループホーム等地域で継続して生活できるための支援に必要な物的及び人的資源の確保や保障、支援者の継続的な人材育成といった根本的な課題解決が望まれるという示唆を得た。グループホームの種別による実態の比較や実際に地域で生活をしている障害者本人への調査が今後の課題である。
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