まず研究初年度に、地域包括ケアシステムにおける多職種連携の方法について、ケアマネジメントとインタープロフェッショナルワークが有効な方法となることを明らかにした(河野高志「地域包括ケアシステムにおけるケアマネジメントとインタープロフェッショナルワークの可能性」『福岡県立大学人間社会学部紀要』第26巻第2号、福岡県立大学人間社会学部、2018年2月、pp.37-53)。ケアマネジメントは従来、利用者のニーズに合わせた社会資源の活用やチームアプローチ、ネットワーキングを特徴とする支援方法であり、インタープロフェッショナルワークは多職種間の効果的な連携に特化した概念であり、これらを組み合わせて展開することが地域包括ケアシステムにおける多職種連携を進める上で有効であると考えられている。 2年目には、全国の地域包括支援センターへのアンケート調査から、地域包括ケアシステムにおける多職種連携の促進要因を明らかにした(河野高志「地域包括ケアシステムにおける多職種連携の促進要因」『社会福祉学』第60巻 第1号、日本社会福祉学会、2019年5月、pp.63-74)。この調査からは、連携(linkage)・協調(coordination)・完全な統合(full integration)の概念を統合した連携の指標に対して、ケアマネジメントとインタープロフェッショナルワークが促進要因となることが分かった。 最終年度では、地域包括ケアシステムを構築する上での課題をアンケートの自由記述から分析した(2020年5月現在『社会福祉学』に投稿中)。この結果から、行政や専門職、地域住民の連携を促進するためには、ケアマネジメントのミクロからマクロの実践をフィードバックさせることとインタープロフェッショナルワークの要素が重要になることがわかった。
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