研究課題/領域番号 |
17K13886
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
永野 咲 昭和女子大学, 人間社会学部, 助教 (10788326)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 社会的養護 / 当事者参画 / アクションリサーチ / ストラテジック・シェアリング |
研究実績の概要 |
社会的養護制度の領域において、当事者の参画は依然として萌芽期にある。現在、日本では約10団体が活動しているとされるが、その体系化は進んでおらず、国際的な状況から遅れをとっている。本研究の目的は、社会的養護領域における当事者参画推進に向けた組織化およびアクションリサーチの要件を整理することで ある。そのために、以下の3つの研究課題を設定し、明らかにする。 研究課題1:先進国における当事者参画システムを明らかにする:社会的養護領域における当事者参画の先進諸国において実施されている当事者参画のシステムについて、制度的レベルから具体的に整理する。1年目である2017年度には、アメリカ合衆国ワシントン州において近年制定された制度の成立過程について、エキスパートにヒアリング調査を実施し、政策決定の4つの時点で当事者参画が行われていることが明らかになった。 2018年度は、明らかとなった内容について、学会で報告するなどの方法で、成果を報告した。 研究課題2:先進国における当事者参画のためのプログラムを明らかにする:先に把握した各国の当事者参画の制度的システムにおいて、実 施されているプログラムやトレーニング・ツールの内容を収集し、明らかにする。初年度に把握した当事者の安全性確保についてのトレーニング「ストラテジック・シェアリング」について、2018年度はより具体的な内容を整理し、明らかとなった内容を学会等で報告し、安全性確保のための取り組みを広めるよう努めた。 研究課題3:日本国内における当事者参画・組織化に向けた要件を明らかにする:実際に日本において当事者参画を組織化するにあたって、どのような 運営方法が適するか明らかにする。2018年度、米国で初めて当事者団体を立ちあげた団体のエキスパートに聞き取りを行い、団体の成り立ちと困難を乗り越えた方策についてディスカッションを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度に所属先が変更となり、業務の状況から予定していた海外調査を行うことが難しくなった。次年度には、計画している海外調査を実施し、取りまとめを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2019年度には、イギリスおよびオーストラリアの状況を把握するため、訪問調査もしくは、現地研究者・実践者に対するヒアリング調査を実施し、研究課題1「先進国における当事者参画システムを明らかにする(制度的レベル)」および研究課題2「先進国における当事者参画のためのプログラムを明らかにする(実践レベル)」について、さらに検討を深める。 さらに、研究課題3「日本国内における当事者参画・組織化に向けた要件を明らかにする」ために、先進各国のシステムと日本国内での当事者参画組織化の要件をまとめ、アクションリサーチのための条件を整理し、考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に所属先が変更となり、業務の状況から予定していた海外調査を実施することができなかった。そのため、次年度に実施予定である。
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