研究課題/領域番号 |
17K13887
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
川本 健太郎 立正大学, 社会福祉学部, 専任講師 (80580662)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域包括ケアシステム / 住民参加 |
研究実績の概要 |
初年度となる2017年度は、2018年度に実施するアクションリサーチに必要な基礎的研究に取り組んだ。主に、地域包括ケアシステムに関連する①関連政策制度の動向及び基礎的情報の整理、②モデル事例の調査分析、③援助技術・方法のあり方について、先行研究のレビュー並びに訪問調査を実施した。 ①については、社会福祉制度をはじめ医療・保健政策の動向について、政策文書・文献をはじめ、本研究のアドバイザーとして協力を得ている長尾和宏医師に対するヒアリングや日本在宅ホスピスケア研究会に参加し、その本質的な認識を深めることに努めた。②については、粟島以外の離島(宮古島)の調査、また、新潟県内の市町村(主に柏崎市・新発田市)などの地域福祉計画、実施主体となっている社会福祉協議会・自治体関連部局の職員に対するヒアリングを通して、システム形成に必要な資源と促進していくための要因分析を行った。なお、社会福祉法人の調査も実施しながら、県内外の法人による地域貢献事業として、粟島浦村への人材派遣の可能性を模索してきた。 ③については、住民によるささえあい実践のあり方に焦点を絞り、看取りの実績をもつNPO法人つどい場さくらちゃんの参与観察、代表理事に対するヒアリングを通して、住民参加のプロセスや方法、ケアの質的側面について調査を行った。 これらの研究実績については粟島浦村役場(保健福祉部 森田氏)と共有しており、粟島浦村に必要な資源や人材育成のあり方、住民に対する啓発活動などの地域福祉プログラムの開発に向けた一つの素材として活用してきた。2018年度6月よりアクションリサーチの本格的実施に移行する予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、初年度よりアクションリサーチを進めていくことを予定していたが、今年度は、基礎的研究に焦点をあてコストを割いてきた。その成果としては、地域包括ケアシステムに関わる政策制度の詳細、動向について認識を深めることができた。その際に、本研究の対象となる極端な過疎高齢・人口減少地域、かつ、資源不足によりサービス開発が困難な地域に対する制度上の課題について整理を行うことにコストを割いてきた。また、モデル事例の調査を始め、他地域の実践事例の研究をすすめることで、当該調査地域が目標とすべき地域包括ケアシステムのありかた、その形成プロセスの計画化に資する研究成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画としては、昨年度進めてきた基礎的研究と並行してアクションリサーチを本格的に展開していく。ひとつは、粟島浦村に在島している要介護高齢者のニーズ調査(全数)、福祉職をはじめ自治体職員に対する意識調査、住民懇談会を開催し住民の終末期ケアに対する意識調査を行う。加えて、終末期ケア、介護に関する講演会や研修会を定期的に実施しながら、プログラムの実施による意識変容についても調査を行っていく。なお、島外の専門機関ネットワークの形成に向けて、新潟県社会福祉協議会の協力を得ながら、高齢者施設協議会参加法人との共同研究会を企画する予定になっている。法人のケアスタッフの研修として、粟島浦村に派遣し訪問介護(看護)が展開できるかどうか、地域貢献事業として企画することは可能かどうかについて、実践化を目標に置いた研究会を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度への繰越が生じた理由は以下のとおりである。 計画作成当初予定していた離島でのアクションリサーチの実施を次年度以降に変更した。そのため、今年度、予定していた物品の購入を抑制し、次年度の旅費を担保するという調整を行った。 物品は主に図書費用に充当する予定であったが、大学図書館、国立国会図書館の積極的活用により文献収集を行ったため、研究推進に支障がでることがないように進めてきた。
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