研究課題/領域番号 |
17K13889
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
山本 真理子 帝京科学大学, 生命環境学部, 助教 (40758744)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 家庭犬 / 視覚障がい児 / 活動量 / 社会的交流 |
研究実績の概要 |
本研究は、身体活動面における視覚障がい児の福祉向上にむけて、家庭犬が果たす役割を調査することである。特に、研究代表者の先行研究で示唆された盲導犬による視覚障がい者の身体活動量増進効果について、盲導犬との生活が法律上認められていない18歳未満の児童において家庭犬でも同様の効果が得られるのかを明らかにすることを主目的とする。 平成29年度は、調査1(横断研究)として、視覚障がいを持つ小学生から18歳未満の児童のいる保護者を対象に、児童の身体活動量、社会的交流、外出頻度等を調査し、犬の有無で比較した。 全国の盲学校および視覚障がい児を対象とする特別支援学校68校中43校の協力が得られ、139名(自宅通学児童)の回答を得た(有効回答率30.4%)。犬の飼育の有無で、児童の活動量、社会的交流、外出頻度に有意差は見られなかった。今後、全国の弱視特別支援学級及び弱視通級指導教室にも対象を広げ、調査を続けていく予定である。調査2(事例研究)では犬が児童にもたらす影響の深層を理解するために、犬飼育児童の家庭を訪問し犬との関係性、他者との交流、身体活動量について面接を交えて実測データを収集する予定である。 盲導犬の利用は視覚障がい者の身体活動量増進に寄与することが示唆されているが、視覚障がい児はその恩恵にあずかることができない。一方で、家庭犬は日本国内だけでも約1千万頭飼育されており、より身近な家庭犬を介在させて視覚障がい児の身体活動量増進に応用することができる可能性がある。特に、児童期に好ましい運動習慣を身につけることは、短期的な効果にとどまらず、生涯にわたってより健康的な生活を得ることにつながるという点で非常に意味がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査1では盲学校および特別支援学校の児童を対象とした調査は予定通り終了した。なお、全国の小中学校に設置されている弱視特別支援学級及び弱視通級指導教室に通う児童も対象にする予定であるが、これらの支援学級および指導教室は児童の有無により設置状況が毎年度異なる。調査にあたり、国立特別支援教育総合研究所の「全国小・中学校弱視特別支援学級および弱視通級指導教室実態調査」を参考にするが、平成29年度に行われる最新の報告を待って引き続き調査を進めることにしている。調査2も順次データ収集を開始している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
国立特別支援教育総合研究所の「全国小・中学校弱視特別支援学級および弱視通級指導教室実態調査」は5月中に報告書が開示される予定とのことであり、公開され次第、調査1の弱視特別支援学級及び弱視通級指導教室に通う児童からのデータ収集を始める予定である。 調査2も研究計画に従って遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査1では全国の小中学校に設置されている弱視特別支援学級及び弱視通級指導教室に通う児童も対象になっているが、これらの支援学級および指導教室は児童の有無により設置状況が毎年度異なる。調査にあたり、国立特別支援教育総合研究所の「全国小・中学校弱視特別支援学級および弱視通級指導教室実態調査」を参考にするが、平成29年度に行われる最新の報告を待って引き続き調査を進めることにしている(前回の調査は平成24年度)。報告書の開示が平成30年度5月になるということなので、それを待って調査をすることにしたため、平成29年度の使用額が予定より少なくなった。
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