研究課題/領域番号 |
17K13890
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
柴田 学 金城学院大学, 人間科学部, 准教授 (20580666)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 社会的起業 / 連帯経済 / 共同売店 / NPO / 地域福祉 / 地域資源 / 生活協同組合 / 地域組織 |
研究実績の概要 |
今年度(2018年4月1日-2019年3月31日)は、研究機関が発行する雑誌への論文執筆・投稿、共同売店・NPOおよび地域組織に関する現地調査、共同売店に関する学会報告、社会的起業に関連した文献研究を行った。 論文執筆では、昨今の地域福祉の主流化および政策化の動向および課題に整理を行った上で、本研究の研究対象の一つである生活協同組合に焦点をあてて、地域福祉の推進主体としての可能性について考察した。 沖縄での共同売店調査では、研究倫理申請を行った上で本格的なインタビュー調査を2ヶ所(沖縄本島1ヶ所、宮古島1ヶ所)で実施した。具体的には連帯経済を基盤とした社会的起業の視点を軸に、その展開プロセスを意識しながらヒアリングを行った。 国内学会では、共同売店調査で収集したデータを踏まえつつ、社会福祉内発的発展論の理論に依拠しながら、共同売店に関する事例研究について、「日本地域福祉学会第32回大会(於:静岡福祉大学)」において中間報告を行っている。今後は、地域福祉学会での報告と詳細な調査データを踏まえて、査読付き論文での投稿を目指す予定である。 また、沖縄のNPO調査では、宮古島の市街地で展開されている学童保育へのフィールドワークを実施し、子ども支援拠点を軸とした地域資源の活用・調整・開発について重要な知見を得ることができた。なお、地域資源の活用・調整・開発については、岐阜県各務原市で展開されている地区社会福祉協議会を視察し、人材を活かしたサービス創出や経済活動を展開していることも参考になった。並行的に、社会的起業に関連した文献研究を実施したが、上記事例も踏まえて、地域福祉における社会的起業の理論研究を進める上では、地域資源をベースとした開発的機能を位置づけていく事を検討していく必要があることも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、共同売店研究に焦点をあてて学会で研究報告を行うことができた。しかしながら、事例の再調査を実施したこと、および共同売店に関する文献研究が進捗が遅れていたことも影響し、今年度中に研究雑誌へ投稿することができなかった。また、研究対象としている中山間地域における地域自治組織、共同売店への調査等、精力的に調査活動を行ったため、調査協力者との関係づくりはできている。 地域福祉における社会的起業の理論研究については、NPOや地域組織の調査を通じて、地域資源の活用・調整・開発という知見を得ることができたが、理論枠組みについては更なる検討・整理を行う必要があると判断したため、理論研究を完成するまでには至らなかったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、(1)地域福祉における社会的起業に関する理論研究(2)共同売店の事例研究を完成させ、その内容について研究雑誌への投稿を目指す。 そして、中山間地域で展開される地域自治組織、離島のNPOに対して、研究倫理申請をクリアしたうえで本格調査を実施し、事例研究を完成させる。 最終的には、理論研究・事例研究での知見を踏まえて、社会的起業における「きょうどう」的アプローチモデルの提示を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は年度末に東京で開催された国際公共経済学会春季大会に参加することを想定していたが、スケジュールの都合上断念することとなり、想定していた旅費部分で未使用額が生じてしまった。 使用計画としては、調査における旅費に充てることとする。
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