本研究期間中は、西日本豪雨災害や新型コロナウイルス感染拡大などが相次いだ。そのため本研究は、研究の中断や学会への参加中止、実習指導・実習担当教員へのヒアリング調査実施の中止などの影響を受け、当初の研究計画より大幅に縮小した。さらに2021年度から社会福祉士養成課程の新カリキュラムがスタートしたことにより、本研究開始当初は「相談援助実習指導」「相談援助実習」であった実習関連科目の名称は、「ソーシャルワーク実習指導」「ソーシャルワーク実習(専門)」へと変更となった。科目名称だけでなく、実習時間数の増加や種別を分けた複数の実習施設・機関での実施など、実習内容にも大きな変更があった。所属大学では、今年度より複数の年次にまたがる新しい社会福祉士養成カリキュラムに基づく実習が始まったため、新たな実習指導の講義や実習に係わる準備や実施、実習先との連絡・調整作業等に従事した。こうした実習指導・実習の変更は、本研究の進捗状況にも影響を与えている。 本研究成果としては、①ストレングス、パワー、コンピテンスの関係性の整理、②実習における実習生のストレングス-パワー変容過程の仮説の提示、に取り組んできたことが挙げられる。特に今年度は、コンピテンスやコンピテンシーの概念について引き続き整理した。また②については、スーパービジョンや省察的実践に関わる先行研究の整理を通じて取り組んだ。さらに他の研究者と共に、新しい社会福祉士養成カリキュラムにおけるグループワークの位置づけを再考した。新カリキュラムでは、地域共生社会の実現を目指し、そこに寄与できるソーシャルワーカー養成が強調されている。実習においても、利用者や家族、グループ、地域住民、多職種・多機関との連携・協働を実現できる教育が求められていることが明らかとなった。そして実習においても、グループワーク理論を意識した教育が必要であることを強調した。
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