研究課題/領域番号 |
17K13895
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研究機関 | 札幌大谷大学短期大学部 |
研究代表者 |
今西 良輔 札幌大谷大学短期大学部, その他部局等, 講師 (60746478)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 社会的養護 / 里親 / 里子 / 里親支援 / 時間的展望 / レジリエンス / 文化資本 |
研究実績の概要 |
2017年に新しい社会的養育ビジョンにおいて、より子どもの代替養育は家庭的な環境で養育を推進するように目標が掲げられた。家庭養護については、主に里親に焦点をあてた研究が多くなされている。最近では、里親を支援するという部分で重要な研究が成されてきていることがわかった。実際に生活する子どもに対する調査というものはこれまで行われてくることは殆どなく、その理由としても親権者との関係性、子どもへの影響という部分である。 社会的養護の子どもにとって適切な生活の場所がどこにするのかということを大人によって方向付けされるが、それが適切なのかどうかという客観的な検証は行われていない。また、家庭養護の子どもがどのように自分自身を意識しているのか、代替の家庭生活から将来への展望を持てているのかどうかは、明らかにされたものはなかった。一方で、施設養護の子どもに対する研究は進められている。これからの家庭養護を進めることや代替養育の支援対策を考えるためにも、生活している子どもからの声と現状を把握することから検討を進める必要があることが改めて分かった。 子どもに適した家庭環境を整えることが必要であるものの、実際に適していたのかどうかを検証することはできていない。里親に対する支援や里親となることに焦点を当てた研究はあるが、里子自身を支えるために里子自身の環境や意識に対する調査研究はなかなか実現させることが難しいこともわかってきた。 今後の調査としては、これからの成長発達や社会自立に向けた支援を検討するために時間的展望という将来に対する意識、逆境的体験を乗り越える力としてのレジリエンスの状況、子どもの成長において様々な家庭内の価値や文化による影響を受けることから文化資本の把握、自分自身に対する自己肯定感などの面から子どもの姿を捉え、検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
里子に対する調査ということから、個人情報や倫理配慮の観点から調査することが可能かどうか、児童相談所や関係者との検討に時間を要した。関係機関との話を進めている間、これまでの里親研究や里子への調査の有無などを検討してきた。そこから家庭養護だけではなく、施設養護における子どもたちも合わせて調査を進めることの必要性が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、社会的養護の措置権限を有している都道府県および政令指定都市の双方との会議や調整を継続している。本研究における主旨説明を実施する時期を決め、里親会との連絡調整も進めている。今年度の半ばで所管する行政との調整を経た後、各児童相談所などへ随時説明のため訪問をすることとなっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査対象者への倫理的な配慮や対応方法について、関係機関との協議に時間を要してしまったこと、調査の枠組みについて再検討を重ねていたことで遅れが生じてしまった。そのため、前年度予定していた各児童相談所への訪問調査も出来なかったため、次年度へ持ち越すこととなった。
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