今年度は、児童養護施設の入所児童および里親家庭の里子に対するアンケート調査を実施することができた。道内の児童相談所、里親会に協力を依頼し、里親家庭における里子に対する研究方法を検討してきた。また、児童養護施設の措置児童については、個別に施設へ連絡を行い、協力を仰ぎ、倫理的配慮の検討にかなりの時間を要した。調査時期がずれ込んでしまったことによって、十分な分析検討する時間を確保することができなかった。結果としては、児童養護施設は7割以上の回収率となったものの、里親家庭については3割程度となった。しかし、これまで家庭養護の子どもの調査はされてこなかったことから、今回調査を実行できたことは重要な知見を得ることができたと考える。施設養護の子どもに比べどのような部分で類似し、差異があるのかを検討できる。回答数が少ないものの、地域別にで検討することができるため、どのような状況とニーズ発見などに活用することができると考えている。 当初、検討していた養育者である里親を含めた調査は行わず、子どもを中心とした調査研究となった。調査内容としては、時間的展望、レジリエンス、文化的資本、自尊感情などの調査内容を実施することができた。本研究の目的としていた社会的養護の子どもの状態について把握することができたことは有意義な結果となった。今後は、このデータを用いて、児童養護施設、児童相談所、里親に向け、これからの養育に役立てる方法を提示、協働する手立てを模索していくことができると考えている。
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