本研究の目的は、がん患者の家族が「最期の時を悔いなく過ごし、納得した最期を迎える」ための必要な要因を明らかにすることである。「がん」による死亡者数が増加する中、本研究の結果は、がんにより最期を迎える方の満足や納得につながる意義がある。 研究方法は、自筆式質問紙調査である。調査は、患者会・遺族会に所属するがん患者の遺族を対象に、平成30年11月からの3か月間で実施した。調査内容は、本研究で平成29年度に実施した質的記述的調査の結果に基づき調査票を作成した。分析は、各項目の単純集計ならびに終末期医療、終末期の生活における満足群、不満足群に対して関連要因をMann-WhitneyU検定により群間比較を実施した。 本調査は、調査票を339票に対し、有効回収数が145票(42.8%)であった。家族(遺族)属性では、平均年齢63.7歳、故人からみた続柄は、配偶者が64.8%と一番多い結果となった。故人(患者)属性では、死亡平均年齢、60.8歳、死亡からの平均期間126.4か月、原発部位の偏りはなかった。 終末期医療における満足度は、「そう思う」、「ややそう思う」を合わせた、「満足」群で59.3%であった。満足度の高い群の特徴としては、患者(故人)と家族(遺族)の間に終末期医療に関する意見の一致があった107名(73.8%)とする回答との間に有意差が見られた(P<0.01)。終末期の生活の満足度は、家族(遺族)においては「そう思う」、「ややそう思う」を合わせた、「満足」群で43.6%であった。その中でも満足いく最期を迎えた特徴としては、一緒の時間を持てた(P<0.01)、人生について振り返ることが出来た(P<0.01)との間に有意差がみられた。 罹患前の関係性が、「満足」に及ぼす有意差はなく、闘病生活の中で患者と家族が向き合い、語り合い、自己決定していくプロセスが重要であることが明らかになった。
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