過去の研究では、「人々にとって自由意志が何を意味するか」が明らかになっている。それらの知見をふまえ、本研究は自由意志信念がもたらす機能(ウェルビーイングの促進)や、それらの機能が働かない条件(決定論/運命論に関する信念)を実証的に示した。ただし、後者の条件に関する知見は再現性に課題があり、決定論に関する人々の概念分析の必要性が示唆される。また自由意志や決定論にまつわる人々の信念体系は、かならずしも一貫してはいない可能性も指摘できるだろう。以上のように、本研究は自由意志信念の機能について理解を深めるとともに、そこでの課題を示した点で意義があると考えられる。
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