研究課題/領域番号 |
17K13902
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
稲垣 勉 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 講師 (30584586)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 潜在的シャイネス |
研究実績の概要 |
シャイネスは対人場面において生じ,社会的不安と対人的抑制という特徴を持つ情動的・行動的な症候群とされる。従前よりシャイネスが高い者は,対人場面においてうまく振る舞えず,孤独感を募らせるといったことが示されてきた。 近年は内省を通じて自ら意識可能な顕在的シャイネスのみならず,意識することが困難な潜在的シャイネスも注目されている。潜在的シャイネスの高さは,対人相互作用場面における非統制的行動(赤面,自身の身体への接触)との関連が報告されている。従前よりシャイネスの低減を目的としたソーシャルスキルトレーニング(SST)などが展開されているが,そこで効果測定の対象になっているのは顕在的シャイネスであり,SSTの効果が潜在的シャイネスまで及ぶのか否かは検討されてこなかった。 近年の報告によると,潜在的な側面には,意識されにくいレベルでの介入方法が一定の効果をあげる可能性があるとされている。本研究はこの点に注目し,従前から行われているSSTの他に,非意識的なレベルでも介入を行い,対象者の潜在的シャイネスが低減されるか否かを検討する。 本年度は計画の1年目であったが,研究代表者・研究協力者の所属が本年度より変更になったため,1年目に計画していた実験を2年目に実施することとし,実験環境の整備ならびに関連学会での情報収集を行った。 来年度以降は,まず2年目に潜在的シャイネスに影響を与える要因の検討(SSTもしくはそれに準ずる方法,コンピュータによる課題を用いた評価条件づけ,対概念の活性化)を行い,その効果を検討する。この段階で潜在的シャイネスの低減に対し,複数の方法による効果が認められた際には,複数の方法の組み合わせの効果がみられるか否かを検討する。その上で,効果のみられた方法を用いて対象者に介入を行い,一定期間(1週間後,1ヶ月後,3ヶ月後)をおいても,その効果が継続されているか否かを確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度より,研究代表者ならびに研究協力者の主たる所属が変更になり,両者ともに新たな環境における勤務や,実験環境の整備に時間を要する状況となった。そのため,本年度は1年目に計画していた第一段階の実験の実施を2年目に実施することとし,実験環境の整備ならびに関連学会での情報収集に力点を置いた。その結果,来年度(2年目)より,当初の研究計画の1年目にあたる内容を遂行する見通しがついた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の計画は,3年目(平成31年度)に予備期間を設けており,1・2年目の計画が当初の予定通りに進まなかった際に,この期間を利用して調整ができるようにしてある。したがって,3年間の研究計画に影響はない。 来年度以降は,1・2年目に予定していた研究計画を確実に進めていくと同時に,研究で得られた成果を国内外の学会で発信していく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予定していた実験を来年度に実施することにしたため,当初に支出を予定していた人件費や物品費に未使用額が生じた。次年度から1・2年目の計画に沿って執行していく予定である。
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