研究課題/領域番号 |
17K13913
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
西館 有沙 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (20447650)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 発達障害 / 障害理解 / 大学生 / 教育実践 / 教育効果 |
研究実績の概要 |
大学生を対象とした発達障害理解教育の指導案を作成した。指導案の作成において、当初の計画では質問紙調査によって生徒・学生の認識を明らかにし、それを基礎資料とすることを予定していた。しかし、質問紙作成段階において認識を適正にとれるかどうかについての疑義が生じ、専門家との議論を経て本研究においては質問紙調査を取りやめることとした。その代わりに、文献の収集に努め、先行研究等を基に指導案の作成を行った。 また、その指導案を用いた実践の効果を測定した。実践は大学の講義2コマ(1コマ90分であったが、理解教育に充てた時間は2コマで100分であった)において、大学生40名を対象に行った。また、教育の前後に自記式・無記名式の質問紙調査を行った。質問紙への回答は任意であったため、回答の見られなかった2名を除き、38名分の質問紙を分析対象とした。 教育の実施前後に行った質問紙調査では、教育の実施によって発達障害者との交流の当惑が低まるかどうか、教育を受けた後に学生は今回の内容に加えてどのような情報を得たいと感じたのかを明らかにすることを目的とした。交流の当惑に関する尺度得点は、教育の前後で有意差が認められ(t(37)=3.02, p<0.01)、当惑が有意に低まったことが確認された。また、学生がさらに知りたいこととして挙げた内容は、発達障害者の生活上の工夫や、発達障害者への対応についてであった。これらの結果より、障害の特性や、障害者が感じている困り感について伝えていくことは必要であるが、それだけでなく、障害者自身が工夫していること、具体的なかかわり方について併せて伝えていく必要があるという示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質問紙の中身の検討に時間を要したこと、この検討の結果として計画の一部変更を要したことから、当初の予定より遅れが生じた。具体的には、質問紙調査の目的を達成するための質問紙の内容や構成に疑義が生じ、適当かつ妥当な結果が得られるかについて専門家と審議を重ねた結果、課題が残る段階で調査を実施すべきではないという結論に至った。そのため、計画全体を見直し、先行研究等を丁寧に収集し、それらを整理しつつ、教育内容や方法を検討することとした。以上により、教育モデルを作成し、教育の実践と効果検証を行う時期にずれが生じた。2019年度に教育モデルを作成し、実践と効果検証を行ったものの、これだけでは十分とは言い難い。したがって本研究については期間延長の申請を行い、承認を得たところである。 ただし、2020年2月あたりからコロナが流行し始め、3月からは各地域の学校が休校対応をとる状況が続いたため、教育モデルの実践と効果検証の予定が、現時点において立っていない状況である。今後の状況によるが、計画のさらなる遅延が生じる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
教育モデルを作成し、教育の実践と効果検証を進めていくことを予定している。ただし、コロナの影響により、教育の実践が行いにくい状態にある。具体的には、休校の措置は解かれたものの、中学校や高校等を外部者が訪問しての教育活動は控えざるを得ない状態であるし、大学等においても遠隔授業の対応が取られており、研究を目的として、学生を集めて対面での実践を行うことは難しい状況にある。 現状では夏季休暇終了後に、コロナの問題が収まっている状況下において、教育の実践と効果検証を進めていくことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査の実施を中止したことにより、これにかかる印刷費や発送費が0となった。質問紙調査に代わり、関連文献の収集にあたったため、書籍や文献取り寄せに費用がかかったものの、質問紙調査の実施にかかる費用ほどはかからなかった。また、質問紙の実施可否の検討や文献等の収集に時間を要したことにより、教育モデルの作成と実践、効果検証の予定が後ろ倒しとなった。以上により、次年度使用額が生じた。次年度には、教育モデルの実践とその効果検証のために費用を使用する。
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