まず、本研究では当初に計画していた学校(小学校や中学校、高等学校)における教育の実践と効果検証が、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、研究期間の延長をもってしても実施することができなかった。 そのため、代替対応として、高等教育機関である大学に通う学生を対象に教育実践とその効果検証を行った。具体的には2種の教育モデルを作成し、実践した。教育モデルは1種につき50分の内容となっており、児童福祉論の障害児福祉に関する内容の一部として実施された。効果検証は教育実践の前後における無記名式・自記式の質問紙調査により行った。結果として、発達障害児・者と関わる際の抵抗感は低まる傾向が認められたとともに、発達障害者の困り感の内容や理由に関する理解は進んだことがうかがえた。一方で、発達障害者への関わりについては認識の変容が認められず、課題が残る結果となった。このような効果と課題を確認できた点は本研究の成果の一つと言える。ただし、発達段階に即した教育モデルを目指すためには、今後の引き続きの研究が必要である。 また、本研究では、これまでの障害理解教育に関する文献のうち2000から2019年までに公表された約20年分の文献を収集し、その内容の分析を行った。これにより、発達障害理解教育についての研究の動向、その特徴、課題を整理した。この成果は、今後の教育内容や方法の検討を行う上での貴重な資料として活用できるものと考える。
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