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2017 年度 実施状況報告書

文章の読み過程の包括的検討と読み支援手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K13915
研究機関京都大学

研究代表者

田中 哲平  京都大学, 教育学研究科, 研究員 (30770416)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード文章の読み / ハイライティング / 読書量 / 流暢性語彙 / 文章理解
研究実績の概要

本研究課題は,読みの苦手な読者に対する読み支援の実現に向けて,ワーキングメモリ(WM)・眼球運動分析・読み支援手法に関する包括的な検討を行い,読みメカニズムの解明と読み支援手法の確率を目指す事である。初年度は特に,読者の様々な特性と,文章を読んでいる最中の顕在的行動であるハイライト付与行動の関連を中心的に検討した。
上記を検討するため,大学生200名を対象に,質問紙を用いた調査を行った。300字程度の教科書の文章を読ませながら「文章を理解するために重要な単語」にハイライトを付与するよう指示し,文章中に付与されたハイライトの数を計測した。また同時に実施した読者特性(主観的読書量,客観的読書量,流暢性語彙,文章理解能力)との関連性を調査した。その結果,読書量が多い読者ほどハイライトの付与数が少なく,効率的にハイライトを付与している事が推測された。その一方でハイライト付与数と文章理解力との関連は認められず,ハイライトを付与する事が直接的に文章理解を促進するとは言い難い。むしろ客観的読書量や流暢性語彙が文章理解に及ぼす影響が大きい事が示された。
しかし本調査のハイライト付与は読者の自己流であり,かつ無目的に行われていたため,ハイライトに目的を持たせた場合(例えば「覚えるために」ハイライトをして下さい等)の効果が検討できていない。加えて集団調査を行ったために各読者の細やかなハイライト付与行動が未検討である。そのため本年度以降,当初の目的通り読者の細やかなハイライト付与行動を眼球運動測定やPC上でのマウス軌跡の分析などをより詳細に分析する。
本調査の内容は,国内会議にて発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

読者の様々な特性とハイライト付与行動の関連性を質問紙で検討した。ただし冊子を用いてハイライトを行わせたため,その分析に当初想定以上の負担があり,計画変更を余儀なくされてしまった。また集団で実施したために読者個々人のWM容量との関連が検討できていない。しかし当初計画していた以上の読者の特性(読書量や流暢性語彙など)との関連が新たに明らかになり,研究の基盤を固める事ができた。
また眼球運動の計測やPC上でのハイライト付与行動のマウス軌跡分析に関して,技術的問題から実装が遅れていたが,本年度からの運用が可能であるとの見通しが立っている。よって本年度以降,遅れを取り戻しつつもほぼ予定通りに研究を進められると認識している。

今後の研究の推進方策

読者特性とハイライト付与行動の関連性については継続して研究を進めると共に,潜在的なデータ(眼球運動やマウス軌跡)との関連も併せて検討していく。特に初年度で得られた顕在的ハイライト付与行動のデータと,眼球運動などの潜在的な行動との関連を精緻に検討する予定である。
これらを計測する実験から得られたデータを基に,ハイライト付与行動や眼球運動などのデータベースを作成し,読みの得意な読者の「読み方」を明確にする。最終年度ではこの「読み方」をもとに読み方教示が読解に及ぼす影響を検討し,読み支援手法の確立を目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 蛍光ペンによるハイライト付与は読み能力を予測するか2017

    • 著者名/発表者名
      田中哲平・小島隆次・齊藤智
    • 学会等名
      日本心理学会

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公開日: 2018-12-17  

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