研究課題/領域番号 |
17K13920
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
池田 幸恭 和洋女子大学, 人文学部, 准教授 (70523041)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 教育系心理学 / 親子関係 / 親の老い |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、親の老いの認知が青年期から成人期にわたる親子関係に与える影響について明らかにすることである。平成30(2018)年度は、親の老いの認知がおとなになることの自覚(大人感)に与える影響を交差遅延モデルによって検証するために、以下の2時点での縦断調査を行った。 1回目の調査では、2018年5月に、20~39歳の合計1940名(男性940名、女性1000名)へweb調査を実施した。父親と母親それぞれの関係について、平成29(2017)年度の研究成果に基づいて作成した親の老いの認知を尋ねる12項目、大人感を測定するためのアイデンティティ段階解決尺度6項目(コテ, 2015)、親子関係に関する質問について尋ねた。2回目の調査では、2019年2月に1回目の調査と同一の回答者へ同様の内容で調査を依頼し、821名(男性418名,女性403名)の回答を得た。また、1回目の調査で10代の頃と比べた親子関係の変化、2回目の調査で親子関係の時間的展望に関する自由記述を求めた。 1回目の調査への回答を分析した結果、父親と母親の双方で、親の老いの否定的認知が小さく、親の老いの肯定的認知が大きいほど、アイデンティティ段階解決尺度の得点は大きいという傾向が示された。この結果は、親の老いを認知することが親子関係に変化をもたらし、おとなになることの自覚を促すという予想の一部を支持するものといえる。さらに2019年11月に3回目の調査を行い、親の老いの認知と大人感の因果関係を3時点の縦断研究によって検討する計画である。本研究の成果は、少子高齢社会が進行する現代日本において、長期化する親子関係の理解に貢献することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30(2018)年度は、親の老いの認知と大人感の相互関係を検討するために、3時点の縦断研究における1回目と2回目の調査を行った。 交付申請時には、2018年2月と8月、2019年2月に縦断調査を行う計画であった。2018年2月に予定していた調査が未実施であったことに加えて、平成29(2017)年度の研究成果を踏まえると、親の老いの認知の変化をとらえるためには調査間隔が6か月では短いことが予想された。そこで調査間隔を9か月に変更して、2018年5月、2019年2月と11月に3時点のweb調査を実施するために、研究期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
親の老いの認知と大人感の相互関係を検討するための質問紙は既に完成している。2019年11月に440名(男性220名、女性220名)を目標として、1回目(2018年5月)ならびに2回目(2019年2月)の調査と同一の回答者へ同様の内容で、縦断研究における3回目のweb調査を実施する計画である。また、18か月間(調査期間)に親子関係へ影響した出来事に関する自由記述を求め、研究結果の考察の参考とする。 この研究は、所属研究機関に設置されている「和洋女子大学人を対象とする研究倫理委員会」の承認を得ている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29(2017)年度の研究成果から親の老いの認知の変化をとらえるためには調査間隔が6か月では短いことが予想されたため、調査間隔を9か月に変更して、2018年5月、2019年2月と11月に3時点のweb調査を実施することにした。そのため、3回目の調査にかかるweb調査費用について、次年度使用が生じた。
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備考 |
なし
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