研究課題
本研究課題では,家庭内での養育行動がもつ適応的機能を明らかにすることを通じ,その進化的適応性に迫ることを目的に,家族単位での縦断調査を行ってきた。慶應義塾大学のふたご行動発達研究センターにて行われている首都圏ふたごプロジェクト (ToTCoP) に登録しているふたごの家庭を対象に,「学力と生きる力のふたご家族調査」を2017年度より開始した。1時点目は2017年度末に郵送法にて調査を行い,約700家庭の調査への参加が得られた。横断的な分析を通じて,家庭内の父親の養育行動が,子どもの社会情緒的コンピテンスと環境要因を介して関連していることを明らかにした。つづく2時点目は2年後の2020年3月に実施し,約750家庭の参加協力が得られた。2時点ともに参加してくれた家庭は,うち約500家庭ほどであった。コロナウイルスの感染拡大に伴い最終年度は回答で他の整理とクリーニング,そして基礎的な分析を行うことしか叶わなかったものの,2時点目のデータにおいても父親の養育行動が子どもの社会情緒的コンピテンスと環境要因を介して関連していることが確認できた。これまで,家庭の中の主たる養育者は母親と考えられ,母親の養育と子どもの心的形質との関連性が繰り返し示されてきた。しかし本研究は,父親という母親とは異なる養育の担い手に着目し,その養育の適応的な機能性を双生児研究のデザインで示したことに新規性があるといえる。予算額の制限から,本研究課題では当該の縦断調査を2時点目までしか実施できなかった。そこで今後の展望としては,この調査をさらに3時手目,4時点目と調査を継続していき,家庭内での養育の適応的機能をより精緻に明らかにしていくことを計画している。
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