研究課題/領域番号 |
17K13924
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
山本 晃輔 大阪産業大学, 国際学部, 准教授 (60554079)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 嗅覚 / 自伝的記憶 / 加齢 / 認知機能 / 嗅覚同定能力 |
研究実績の概要 |
平成30年度は大別して4件の研究を行った。研究1では,高齢者を対象に実験,調査を行い,嗅覚刺激から喚起させるノスタルジー感情の主観的評定,嗅覚同定能力検査,嗅覚イメージ能力尺度,嗅覚への主観的な気づきの程度に関する尺度,主観的幸福感尺度などの関係性を検討した。その結果,嗅覚への主観的な気づきの程度と主観的幸福感,嗅覚イメージ能力に有意な相関関係が示唆された。研究2では,高齢者を対象に,嗅覚同定能力検査,嗅覚イメージ能力尺度,認知機能検査を行った。その結果,嗅覚同定能力と嗅覚イメージ能力には有意な相関関係が確認されたが,一般的な認知機能と嗅覚同定能力,嗅覚イメージ能力には明確な相関関係が確認されなかった。研究3では,若年者と高齢者におけるノスタルジー感情を喚起させる嗅覚刺激について調査を行った。その結果,高齢者では「キンモクセイ」,「赤ちゃん」,若年者では「線香」,「畳」などを中心とするノスタルジー感情を喚起させる嗅覚刺激が選定された。研究4では,嗅覚的手がかりによる無意図的想起に焦点をあて,自伝的記憶のポジティビティ効果について検討を行った。若年者と高齢者に日誌法を依頼し,分析した結果,若年者,高齢者ともにポジティブな記憶がネガティブな記憶よりも多く想起され,いわゆるポジティビティ効果が確認された。世代差について検討すると,高齢者の方がよりその効果が顕著であった。これらの知見は令和元年度の学会で発表予定である。関連する研究発表も含め,平成30年度の学会発表件数は計8件であった。学術論文として,計4編が審査の結果,採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,4件の研究を行い,学会発表を8件行った。またその一部を4編の論文とした。研究状況は,おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,若年者および高齢者を対象とした実験,調査を行う。また,30年度の成果について,積極的に学会発表,論文化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査の実施がやや遅れたため,その費用が次年度に繰越となった。繰越額を踏まえて,次年度は計画的に執行する予定である。
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