研究課題/領域番号 |
17K13929
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
大宮 宗一郎 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 助教 (50729283)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 薬物依存回復プログラム / 精神保健福祉センター |
研究実績の概要 |
わが国の薬物事犯の再犯率は、60%台を越える状態が継続し、出所受刑者の5年以内の再入所率は49.1%である (法務総合研究所, 2019)。薬物事犯の多くは、慢性疾患である薬物依存症を罹患しているため継続的な治療が必要であるが、薬物事犯が受講する薬物依存離脱指導は、刑事施設の運営上、参加回数が限られている。さらに、出所直後に再使用リスクが高まることや、刑の一部執行猶予制度導入によって円滑な社会内処遇への移行がこれまで以上に求められていることから、出所直前の薬物事犯に対してフォローアップ・プログラムを実施することが必要と考えられる。しかし、その必要性や有効性を裏付けるエビデンスはない。そこで、本研究では、刑事施設内における治療プログラムの長期的な効果および出所直前の薬物事犯の特徴を検証し、フォローアップ・プログラムの必要性を検証することを目的としていた。しかし、法務省が全国の刑事施設に収容された薬物事犯者を対象とした調査を開始し、刑事施設に収容された薬物事犯者を対象とした研究が不可能となった。 そこで、文部科学省の科研費担当職員との相談を経て、調査施設を精神保健福祉センターに変更し、精神保健福祉センターにおいて薬物依存回復プログラムに参加している者を対象に追跡調査を行うこととした。また、残された研究期間を考慮し、質的調査を通じて薬物使用者のフォローアップ・プログラム(地域においてはプログラムを継続することの意義)を調査することを目的とした。 本研究を実施することで薬物依存回復プログラムの中長期的な効果検証が行われるとともに、プログラム参加者の変化から薬物依存からの回復のための長期的な方策を検討するための知見を蓄積できるという学術的および臨床的な意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、刑事施設内における治療プログラムの長期的な効果および出所直前の薬物事犯の特徴を検証し、フォローアップ・プログラムの必要性を検証することを目的としていた。しかし、法務省が全国の刑事施設に収容された薬物事犯者を対象とした調査を開始し、刑事施設に収容された薬物事犯者を対象とした研究が不可能となった。調査施設および対象者の変更が余儀なくされ、研究構造をそのまま移行できる精神保健福祉センターを見つけるまでに時間を要した。結果的には、調査を引き受けて頂ける施設を見つけることができ、調査協力者も見つけることができた。しかし、調査協力者のサンプル数は、量的解析に耐えられる人数ではないため、事例研究として研究を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
調査施設を千葉県精神保健福祉センターに変更し、そこで薬物依存回復プログラムに参加している者を対象に調査を行い、質的に分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、刑事施設内における治療プログラムの長期的な効果および出所直前の薬物事犯の特徴を検証し、フォローアップ・プログラムの必要性を検証することを目的としていた。しかし、法務省が全国の刑事施設に収容された薬物事犯者を対象とした調査を開始し、刑事施設に収容された薬物事犯者を対象とした研究が不可能となった。調査施設および対象者の変更を余儀なくされ、研究構造をそのまま移行できる精神保健福祉センターを見つけるまでに時間を要したため、次年度使用額が生じた。 今年度は、千葉県精神保健福祉センターでの調査旅費、日本アルコール薬物医学会や日本精神神経学会などの学会参加費や旅費、解析用に必要なSPSSのソフトや書籍の購入費用や適宜必要となる備品等の購入費として研究費を使用する予定である。
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