研究課題/領域番号 |
17K13929
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
大宮 宗一郎 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 助教 (50729283)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 薬物依存回復プログラム / 薬物使用者 / 精神保健福祉センター / 長期的な効果 / 質的調査 |
研究実績の概要 |
2020年度はCOVID-19の感染拡大の影響に伴う緊急事態宣言の発令により、計画通りに研究を遂行することは困難であった。しかし、そのような中においても、千葉県精神保健福祉センターで提供されている薬物依存回復プログラム(以下、CHANCEとする)に3年以上参加している男性2名 (覚せい剤使用経験者) を対象にインタビュー調査を行い、長期にわたってCHANCEに参加することの意義について質的に分析を行った。その結果、CHANCEへの参加を継続できた理由やCHANCEの長期的な効果を示唆する結果が得られた。前者については、CHANCEにつながった理由がいかなるものであれ、スタッフの働きかけが参加継続に影響を与えている可能性が示唆された (たとえば、「犯罪者としてではなく、治療を要する依存症者としてプログラムに暖かく受け入れてくれたこと」「回復を目標とせず、CHANCEに参加するだけでよいという働きかけにより参加へのハードルが下がったこと」など)。また、このような背景を基に、CHANCEに参加し続けることで、薬物依存の基礎的な学習のみならず、プログラム中の他の参加者の会話から断薬のヒントを得たり、他の使用者も自分と類似する経験をしていることに気づき、精神的な孤立感が減ずるメリットがあると考えられた。さらに、自身が話をすることで感情をため込まずに済むなどの効果が期待できる可能性も示唆された。そして、長期にわたってプログラムに参加することにより、CHANCEが「参加者の断薬生活の苦労やその努力が詰まった場となり、自分の帰る場所」の1つとなり得ることが示された。調査対象者が2名に限られてはいるものの、薬物依存回復プログラムに長期にわたって参加することの意義を示唆する貴重なデータであると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の感染拡大に伴う緊急事態宣言発出の影響による。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、研究の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大に伴う政府発出の緊急事態宣言の影響で、予定通り研究を実施できなかったことによる。そこで、2021年度に2020年度の実施する予定であった調査を行うこととする。したがって、予算は、プリンターのインクや印刷用紙等の物品購入費および調査旅費、およびその他(論文校閲費)として使用することを予定している。
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