研究課題/領域番号 |
17K13930
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
野村 和孝 早稲田大学, 人間科学学術院, 講師(任期付) (60758192)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 性犯罪 / 電車内痴漢 / 性犯罪再犯防止指導 / 認知的反応傾向 / リスクアセスメント / Viewing time method / IAT / Viewing Time Task |
研究実績の概要 |
電車内痴漢は,わが国に特有の犯罪形態であり,海外の標準的なプログラムに基づく既存の性犯罪再犯防止指導においては十分な改善効果が確認されていない(法務省矯正局・保護局,2013)。このような課題の解決には,適切な心理学的介入技法の選定と評価が必要不可欠であり,認知的反応傾向としての「性犯罪関連刺激に対する反応傾向」に基づく特徴の記述と状態像の分類を行うことが重要であると考えられる。 そこで,本研究では,特定の刺激(性加害対象)と反応傾向(性加害行動)を媒介している認知的反応傾向である「刺激の評価」と「刺激へのとらわれ」に基づく電車内痴漢の心理的特徴の記述と分類を目的とする。具体的には,2つのViewing time methodを用いて電車内痴漢を性加害とする者を対象に調査を実施し,「性犯罪関連刺激に対する反応傾向」の特徴の記述と分類の検討を行う。 平成29年度は,研究機関と研究実施先機関の研究実施体制の調整を行い,性加害対象(刺激)へのとらわれの測定を目的としたViewing Time Task(東本・五十嵐・小堀・野村・伊豫,2013;VTT)の妥当性の検討を目的として性加害をした者13名を対象に調査を実施した。また,VTTと電車内痴漢行為における刺激の評価の測定を目的としたSingle-Target Implicit Association Test(Nomura & Shimada, 2011;ST-IAT)の実施に向けて,早稲田大学「人を対象とする研究に関する倫理審査委員会」に倫理審査の申請を行い承認を得た後,調査を開始している。平成30年度は引き続き調査を実施し,データ収集,および結果の取りまとめを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗として,平成29年度に予定していた「1)千葉大学倫理審査」,「2)連携施設、および公募施設との研究実施の打ち合わせ」,「3)調査研究の実施」が終了している。なお,「1)千葉大学倫理審査」については申請者の異動に伴う所属の変更のため早稲田大学にて倫理審査申請を行い,承認を得る手続きをとった。 以上のことから,平成29年度は予定通りの進捗にあり,おおむね順調に進展していると言える。なお,調査の実施にあたっては平成30年度の実施を含め十分なデータ数を収集することを目指しており,平成30年度実績と合わせて検討する必要があるが,平成29年度終了時点においては本研究課題を十分に達成可能な状況にあると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については,「1)研究継続の打ち合わせ」,「2)調査研究の実施の継続」,および「3)研究のまとめ」を予定している。平成29年度実績として予定通りの進捗にあり,おおむね順調に進展しているため,平成30年度においても当初の予定通りの推進方策で十分に対応可能であると考えられる。
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