研究課題/領域番号 |
17K13931
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 優子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任助教 (00610023)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | fMRI / 思春期 / 摂食制御 / 報酬系 / 抑制系 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、思春期の児童において、生理的にエネルギーを補う必要がないにもかかわらず、食べ物の味を楽しむために起こる摂食(非生理的摂食)の神経基盤を明らかにすることである。 本年度では、空腹でも満腹でもないときに、視覚的食物刺激と味覚刺激に対する脳活動をfMRIによって測定し、これらの食物刺激に対してどのような神経活動が起こっているのか解析した。加えて、食事のパターンや食生活に関するアンケート調査を行い、これらの要素が食物刺激に対する脳活動とどのように関連しているのか検証した。 これまでに、42名の10代の被験者を募集した。本研究は東京大学倫理委員会によって承認されており、全ての被験者は同意書によって、本研究へ参加することに同意した。精神疾患や発達障害などの基礎疾患があったり、課題が実行できなかったりして、最終的なデータ解析には35名の健常被験者(女児 = 19名、男児 = 16名;年齢 17.2±1.9歳、 14 – 19歳 )のデータを用いた。 本年度の研究計画に基づき、実験システムを開発した。fMRIデータは時系列解析をする必要があるため、データ取得開始と刺激提示を厳密に同期させる必要がある。さらに、MR装置の特性上、装置付近に金属を持ち込めない。以上の条件を考慮し、パソコンを用いて、データ取得開始と刺激提示を厳密に制御し、非磁性体のチューブを通して、被験者の口腔内に味覚刺激溶液を供給する実験システムを開発した。次に、予備実験を行い、fMRI実験システムを完成させた。 続いて、被験者を募集し、fMRIデータを取得した。fMRIデータ解析の結果から、食物の視覚刺激に対する脳活動と味覚刺激に対する脳活動を検出した。加えて、食事のパターンや食生活に関するアンケート調査の結果とこれらの脳活動の関連を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、実験システムの開発を完了し、そのあと、実験を順調に遂行できている。予定被験者数以上のデータ取得を行い、データ解析も順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は縦断研究である。よって、本年度は、先年度、研究に参加してくれた被験者に、もう一度同様の実験に参加して貰い、体重の変動や成長の度合いと、食物刺激に対する脳活動の関連を明らかにする。本年度、最も重要な課題は、先年度に参加して貰った被験者に、もう一度参加して貰うことである。ドロップアウトの人数を考慮し、28人前後のデータ取得を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予算より少ない費用で実験システムの開発ができたためと、人件費が予定より必要でなかったため。次年度は、この費用を論文作成にあてる。
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