本研究では、心配が発生するメカニズムとして、心配が自己の内部から生成され、繰り返し脳裏に侵入してしまう事を考慮に入れ、なぜ自己の内部に乗じた思考に意識が向いてしまうのかを焦点に検討を行っている。具体的には、高不安者において、外部環境や現在の活動とは関係ないことについて考えてしまう現象であるマインドワンダリングがどのように発生しているのか、その認知・感情的な性質について検討を行っている。2021年度は、研究1として高不安者のマインドワンダリングにおける認知的要求度の影響について検討を行っている。前年度より実験環境を整備し、12名を対象に予備実験を実施した。予備実験では、単純なGo/No-Go課題である持続的注意課題を実施し、その最中のマインドワンダリングについて測定を行った。持続的注意課題では、ターゲットの呈示時間および頻度により3段階の難易度を設定していた。しかし課題の難易度が高いためか、先行研究や過去のデータで示されているよりも正答率が低いという結果が得られた。よって、課題の難易度を再度調整する必要があると考えられ、引き続き課題の調整を進めている。 研究1と並行して、前年度までに得られたデータについて解析を進めている。研究2として、日常生活におけるマインドワンダリングに付随する感情の変化について検討を行っている。前年度までに延べ65名が携帯電話を用いた7日間の経験サンプリングによる調査に参加し、データが得られた。引き続きデータの分析を進めるとともに、得られた結果を論文として公表するための準備を進めている。
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