研究課題/領域番号 |
17K13933
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 恒彦 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60589084)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ペリネイタル・ロス / 悲嘆反応 / 死産 / 流産 / グリーフケア |
研究実績の概要 |
本研究の目的はペリネイタル・ロスのケアに関する前向き調査を含めた精度の高い実態調査を行いペリネイタルロス当事者とその関係者に対する心理的支援法のニーズを確認することである。また、行った調査の結果や海外の支援プログラムをもとに本邦における標準的な本人と関係者に対する支援プログラムを作成し効果を確認することである。本年度は,ペリネイタル・ロスによる悲嘆尺度の開発を行った。 ペリネイタル・ロスによる悲嘆反応を測定についてひろく用いられているThe Perinatal Grief Scale(1988)の短縮版について,原著者であるJudith Laskerの許可を得て日本語版を開発した。開発した日本語版尺度について,心理尺度開発経験のある当事者とともに検討を行い,信頼性・妥当性を検証するための調査を準備した。 ペリネイタル・ロスの評価尺度についての研究を行う中で,既存の評価尺度では男性におけるペリネイタル・ロスの症状評価に問題がある可能性が明らかになった。PGSなどの既存の心理尺度は,当事者女性の状態を確認することを目的に開発されている。しかし,男性におけるペリネイタル・ロスによる悲嘆や心理的負担の問題は,母親である女性とは異なる可能性があることが明らかになってきている。これらの点が日本においても同様であるかについて研究しつつ,より適切に評価が行える尺度開発も視野に入れて研究を行っていく。 また,昨年度に引き続きオンラインによる心理面接の実施について研究を行った。これをもとに,オンライン面接のあり方についてのガイドライン作成を行い論文発表も行った。 調査については,当初協力いただけるはずであったグループがコロナ禍もあいまって活動縮小したことから調査協力が困難になった。そのため,Web調査などで代替し,尺度の信頼性・妥当性の検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力体制の大幅な変更に伴い計画を変更して実施することとなったため,全体として遅れている。しかし,立て直した研究計画について概ね順調に実施でき,これまでの遅れを少し巻き返すことができてきている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,PGS日本語版の開発と,女性・男性それぞれのケアニーズについての調査を行う予定である。文献研究から,男性と女性では死産・流産体験の受け止め方が異なる可能性が示唆されている。ペリネイタル・ロスが与える心理的影響の男女差を明らかにするとともに,ケア・システムを構築するための情報を集めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初行うはずであった調査が延期となったため,調査謝金として準備していた費用が残ることとなった。2022年度に改めて実施する予定である。
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