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2020 年度 実施状況報告書

ディスコースの視点に基づく保護者支援アプローチの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K13934
研究機関駒沢女子大学

研究代表者

綾城 初穂  駒沢女子大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60755213)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード保護者支援 / ディスコース / ナラティヴセラピー
研究実績の概要

【研究目的】価値観が多様化する現代日本においては、社会的文脈(ディスコース)を加味した保護者支援アプローチが求められる。本研究では、この開発を目的とした。令和2年度は、A)令和元年度に引き続き、保護者支援を通しての調査を行うとともに、B)保護者グループの調査結果を発表し、C)ディスコースの視点から行う保護者支援のモデル化を目指すことを予定した。
【実施内容】A)にあたる具体的な保護者支援については、成功事例の縦断的データを複数取得することができた。B)については、保護者400名から取得した自由記述データをディスコースの視点から質的・量的に分析し、まとめた研究成果を学会発表によって公表した。C)については、B)および令和元年度の成果を受けて検討した。
【研究成果】保護者支援の縦断調査の結果、これまでに約200時間の援助データと、400名の保護者から中心的なディスコースが収集された。現時点で得られたデータからは、「理想的ではない親」は一般的に広く共有されているディスコースを通して意識されやすいこと、保護者の理想像は親子関係よりも人格属性をめぐるディスコースと結びつきやすいこと、父親に比べ母親の方が様々なディスコースと結び付けられやすいことが示唆されている。また、ディスコースの視点のうち特にポジショニングに注目したことで、保護者の語りがディスコースによって制約されることだけでなく、そのディスコースの変化が語りの権利によって生じることも説明された。そして、保護者が支援の展開とともに「子ども中心主義」ディスコースがみられること、こうしたディスコースの生産に、ナラティヴセラピーと修復的実践の考えを融合したtwo-circles methodが有益であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

保護者支援の縦断調査では十分なデータが収集できたと考えられる。また、これまでの研究成果から、保護者支援における支配的ディスコース(保護者に否定的に働き得るディスコース)の様相と、支配的ディスコースからオルタナティブ・ディスコース(支配的ディスコースの代わりになるディスコース)への変化をもたらす支援プロセスと具体的方法も示唆され始めている。実施内容で記した通り、成果についてのアウトプットも行えている。ただし当該年度の計画からはすでに遅れているため、本研究の進行は「やや遅れている」に位置付けられる。

今後の研究の推進方策

令和3年度は、これまでの成果を基に保護者支援モデルを構築する。

次年度使用額が生じた理由

平成30年度に研究代表者が研究機関を異動したため研究環境の整備等が必要となり、以降の研究遂行に遅れが生じた。また、コロナウィルス感染症の問題から、調査が中断し、期間の延長が必要ともなった。
令和3年度は主と措定データ入力・整理に伴う謝金(人件費・データ整理用デバイス)と研究発表に伴う費用(研究論文執筆の英文校閲費など)に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 保護者をめぐる「親」ディスコースの諸相――ミックスメソッドによる臨床心理学的検討――2020

    • 著者名/発表者名
      綾城初穂・平野真理
    • 学会等名
      日本心理学会第84回大会

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公開日: 2021-12-27  

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