本研究の目的は、発達障害や、その傾向のある学生(以下、発達障害学生)の不適応を減ずるだけでなく、その優れた能力の発揮を促進させる支援のあり方、つまり“能力発揮促進モデル”に基づいた支援方法を開発するための知見を得ることを目的とした。研究の結果、発達障害傾向と不適応との関連の大部分は、本人の主観的な困難感やソーシャルサポートの少なさによって媒介されていることなどが示された。さらに質的検討としてケーススタディを行い、量的調査では明らかにされなかった、既に十分に能力を発揮している発達障害学生の状況に関するデータを得た。これらの知見から、新たな介入方法に不可欠な要素を検討した。
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