研究課題/領域番号 |
17K13940
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小川 さやか 長崎大学, 保健・医療推進センター, 助教 (80629171)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 認知行動療法 / 修学不適応感 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,修学不適応感を持つ大学生に対し,修学不適応感を緩和することを目的とした認知行動療法を開発し,効果検証を行うことである。大学生の修学状況はメンタルヘルスとの関連が深く,近年,大学生のメンタルヘルス不良による休学は増加している。休退学者の中には,大学への修学に関して,不適応感を感じている者も多い。これまで我々は,修学不適応感をもつ者は,ソーシャルサポート満足感高群に比べてソーシャルサポート満足感低群の心理的苦痛保有リスクが有意に高いことを明らかにしている。修学支援の一環として,国内外の大学においても抑うつ予防の認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)が行われているが,修学不適応感を持つ者に特化したプログラムは開発されていないのが現状である。そこで本研究では,修学不適応感を持つ大学生に対し,修学不適応感を緩和することを目的とした認知行動療法を開発し,効果検証を行う。 平成30年度は,本介入の実施に向け,所属機関の倫理委員会の承認を得た。倫理委員会の承認後,修学不適応感をもつ大学生を対象にリクルートを行い,本介入へのインフォームド・コンセントを実施した。同意を得られた参加者に対し,平成29年に作成した修学不適応感を持つ学生に対する認知行動療法のプログラムを実施した。参加者には,介入前と介入後に質問紙(修学不適応感尺度,BDI-Ⅱ,GHQ-28等)に回答を求めた。 平成30年度は,平成29年度より継続して行っている大学生の修学不適応感と精神的健康との関連について縦断的データを用いて統計解析を行った。その結果, 大学1年次に修学不適応感を有する者は, 1年次に修学不適応感を有していない者に比べ,3年次の心理的苦痛リスクが高かった。統計解析した結果は,日本心理学会第82回大会および第25回日本行動医学会学術総会にて学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は,平成29年度より継続して行っている大学生の修学不適応感と精神的健康との関連について縦断的データを用いて統計解析を行った。その結果, 大学1年次に修学不適応感を有する者は, 1年次に修学不適応感を有していない者に比べ,3年次の心理的苦痛リスクが高いことが明らかとなった。統計解析で得られた結果について,学会発表を行うことができた。 平成30年度は,本介入の実施に向け,所属機関の倫理委員会の承認を得ることができた。倫理委員会の承認後,修学不適応感をもつ大学生を対象にリクルートを行い,本介入へのインフォームド・コンセントを実施した。同意を得られた参加者に対し,平成29年に作成した修学不適応感を持つ学生に対する認知行動療法のプログラムを実施することができた。これらのことからおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度も引き続き,修学不適応感を持つ大学生に対し,リクルートを行い,同意の得られた者に対し,修学不適応感を持つ学生に対する認知行動療法のプログラムを実施する予定である。より多くの参加者に参加してもらうことで,本介入のプログラムの効果検証につなげる。データが集まり次第,統計解析を行い,本介入プログラムの効果について詳細に検討を行う予定である。統計解析の結果については,国際学会にて学会発表を行う。 平成31年度の後半は,研究の総括を行い,社会貢献のため,研究結果について学会誌へ投稿する予定である。また,これまで明らかにしてきた研究結果(修学不適応感と精神的健康の関連)についても学会誌へ投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:当初の計画より研究参加者が少なかったため,研究参加者への謝金及び各種検査代金の使用額が少なくなり、次年度使用額が生じた。 使用計画:本介入についての効果を検証するために,引き続き平成31年度も参加者のリクルートを行う予定である。平成31年度も本介入の実施に伴い,研究参加者への謝金および各種検査代金に使用する。また,研究成果発表のため国際学会への参加費および学会誌への投稿料に使用する予定である。
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