研究課題/領域番号 |
17K13941
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
岩野 卓 大分大学, 福祉健康科学部, 特任講師 (30782453)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アルコール依存 / 認知行動療法 / プログラム開発 / 治療スタッフ |
研究実績の概要 |
平成29年度は,治療プログラムの開発が完了し,統制群に対する介入を実施した。治療プログラムは全10回であり,心理教育,ストレス対処スキルの獲得,社会資源の活用,価値に沿った行動の実施という4つの要素が含まれている。この治療プログラムは,依存症の治療経験が10年以上の専門家3名に,テキストの言葉使いやフォントの大きさ,依存症治療に馴染みのない医療スタッフでも使うことが可能かどうかといったユーザビリティの確認と評価を依頼し,十分な評価を得た。さらに,依存症治療の経験がない医療スタッフにプログラムと使用テキストを紹介し,自身でも使えるかどうかを検討してもらい,概ね実施可能であるという評価を得た。上記の手続きを経てテキストを製本し,既に介入群へのプログラム実施を行っている。現状で,数名がプログラムによる介入を終えており,継続してデータ収集を行っている。 統制群のデータ収集については,年度当初から行っており,介入前後のデータ収集を行った。現在治療終了後1年時点のフォローアップ時点の測定を始めている。先行研究ではアルコール依存の1年断酒率は3割前後であり,治療の脱落も多い。本研究においても,治療後1年の間に治療からドロップアウトする参加者が多く,現時点ではフォローアップ測定が実施できた者は50%を下回っている。しかし,この点は事前に予測されていたため,他機関の研究協力を得て一般的治療を行ったアルコール依存症者のデータを収集している。今後も,統制群のデータは複数の機関で収集する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
治療プログラムの開発が予定よりも大幅に早く完了したため,次年度に実施する予定であった介入群へのプログラム実施を半年早く開始した。初期に参加した介入群参加者は,すでに介入を終え,フォローアップの測定を待つ状況である。しかしながら,統制群の研究協力者数が予定よりも少ないため,他機関に研究協力を依頼し,統制群のデータ収集を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に開発した治療プログラムを,今年度も継続して実施する。並行して,統制群のフォローアップデータを測定する。また,参加スタッフの変化を測定するために,順次治療スタッフのプログラム参加前後のデータを測定する。
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