研究課題/領域番号 |
17K13947
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
深瀬 裕子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (80632819)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 投映法のスコアリングシステム / 高齢者 / 心理的自立 / 老いの受容 / 老いの自覚 |
研究実績の概要 |
本研究課題は老化の過程における心理的自立と老いの受容の葛藤の発生と解消メカニズムについて明らかにすること,およびその測定方法として主題統覚検査(TAT:Thematic Apperception Test)のスコアリングシステムの開発を行うことを目的としている。高齢者を対象とした調査は2015年に開始しており,2019年度まで年1回の縦断調査を行う。対照群である大学生を対象とした調査は2016年に開始しており,2019年度まで年1回の調査を行う。結果の公表は随時,国内外での学会発表および学術論文で行う。2017年度は次のとおり研究を行った。 ①高齢者を対象に第3回調査を実施し,39人の研究協力者に対し,予定通り身体機能,社会的機能,精神的健康,心理的要因について調査を行った。②対照群である大学生に第2回調査を実施し,45人の研究協力者に対し,予定通り身体機能,社会的機能,精神的健康,心理的要因について調査を行った。③2017年度に新たに得られた主な知見は次のとおりである。主題統覚検査(TAT:Thematic Apperception Test)は高齢者においても大学生と同様の反応が得られるが,カードの特徴によっては高齢者特有の反応が得られる場合があること,老いの受容は老いの自覚を引き起こすことから,必ずしも高齢者全員の精神的健康に有効な心理的要因ではないこと。④以上の成果を次のとおり公表した。国外学術論文1本(査読付き),国内学術論文3本(うち査読付き1本),国外学会での発表1件,国内学会での発表3件,日本語の著書1本,国内での講演会1件。また,国外学術論文(査読付き)に2本を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査は順調に行われており,対象者の減少は想定の範囲内であり,欠損は多重代入法等によって補完可能である。主題統覚検査(TAT:Thematic Apperception Test)のスコアリングシステムについては,一部のカードで高齢者に特徴的な反応が得られたことから,高齢者群と対照群で分けた開発が必要であることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は次のとおり研究を進める予定である。 ①高齢者を対象に第4回調査を実施する。 ②対照群である大学生に第3回調査を実施する。 ③老いの自覚・老いの受容と心理的自立についての検討は,体力が低下する3年目以降に老いの自覚が出現すると予想されていることから,2018年度から精緻な解析を行う。 ④主題統覚検査(TAT:Thematic Apperception Test)については,国外で開発されている2つのスコアリングシステムについて,まずは大学生を対象に標準化を行う。 ④以上の成果を国内外の学術雑誌および学会発表にて報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
縦断調査のために調査手続きが整理でき,人件費が予想より削減された。未使用額を含めて,次年度以降に予定している調査および成果報告の経費として充当する計画である。
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