研究課題
本研究課題は老化の過程における心理的自立と老いの受容の葛藤の発生と解消メカニズムについて明らかにすること,およびその測定方法として主題統覚検査(TAT:Thematic Apperception Test)のスコアリングシステムの開発を行うことを目的としている。高齢者を対象とした調査は2015年から2019年まで年1回合計5回の縦断調査を行う。対照群である大学生を対象とした調査は2016年から2020年まで年1回合計5回の調査を行う。結果の公表は随時,国内外での学会発表および学術論文で行う。2019年度は次のとおり研究を行った。①2019年5-6月に対照群である大学生に第4回調査を実施し,33人の研究協力者に対し,予定通り身体機能,社会的機能,精神的健康,心理的要因について調査を行った。②2019年10月に高齢者を対象に第5回調査を実施し,29人の研究協力者に対し,予定通り身体機能,社会的機能,精神的健康,心理的要因について調査を行った。③2020年3月に大学生に第5回調査を実施し,27人から研究協力を得た。なお,本調査はCOVID-19感染拡大防止のため従来の個別検査ではなくWeb調査で行った。そのため投映法,知能検査,体力測定は実施しなかった。④2019年度に新たに得られた主な知見は次のとおりである。高齢者の5年間のデータについて基本的な統計解析をおこなった。5年間を通して心理的健康度も認知機能も高いまま維持されていた。体力も高かったが,一部の対象者に低下が認められた。また,2018年度に使用した主題統覚検査(TAT:Thematic Apperception Test)のスコアリングシステムについて翻訳段階から見直しを行った。スコアの基準が不明瞭あるいは理解しにくい点があり,開発者への問い合わせを予定している。
2: おおむね順調に進展している
2020年3月に予定していた大学生の最終調査は,COVID-19感染拡大防止のために調査方法と調査内容を変更した。
高齢者と大学生のデータについて統計解析を行い,学術論文等として公表する。
①投稿中の論文(修正再審査中)の掲載費(20万)を科研費で支払うため。②大学4年生を対象にした調査を3月に実施する予定であったが,対象大学生のうち一部(留年生や院進学者)が4月の調査を希望していたため。なお,本調査はCOVID-19感染拡大の影響をうけて対象者全員が3月中にWEBで回答する方法に変更したが,謝金支払い手続きは4月に行う。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Psychogeriatrics
巻: 20 ページ: 96-103
10.1111/psyg.12462.
BMC Medical Informatics and Decision Making
巻: 19:280 ページ: -
10.1186/s12911-019-1003-9
http://square.umin.ac.jp/fukase/