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2018 年度 実施状況報告書

不安認知における長期記憶の効率性とワーキングメモリの柔軟性の不均衡仮説の検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K13949
研究機関福山平成大学

研究代表者

上田 紋佳  福山平成大学, 福祉健康学部, 講師 (60707553)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード不安 / 長期記憶 / ワーキングメモリ / 実行機能 / 体験の回避 / 抑うつ
研究実績の概要

不安症(不安障害)におけるネガティブな思考を抑制できないという特徴の背後には,ネガティブな情報を思い出しやすいという(長期)記憶バイアスと,ワーキングメモリの実行機能の機能不全がある。本研究では,高不安者の記憶バイアスと実行機能の機能不全の関係性を,ネガティブな思考の抑制困難の観点から,実験的に明らかにすることを目的とすることとした。
平成30年度は,昨年度の課題であった「不安」を測定する新たな尺度である体験の回避(experiential avoidance)”の改善を試みた。今年度は,体験の回避傾向を測定する尺度として,変化のアジェンダを測定する「Change Agenda Questionnaire(嶋ら,2018)」をもちいた。この尺度では,『体験の回避が維持される背景には、「思考、感情、性格がコントロールできれば心理行動的問題は解決できるだろう」という、“変化のアジェンダ(Change Agenda)” が存在している(嶋ら,2018)』として,変化のアジェンダの確信度と,それに従った行動の程度の両方を測定できる。この尺度について,ネット調査を行った結果,十分な信頼性を確認することができた。
また,平成30年度では,不安と強い正の相関を示す「抑うつ」について,不安と抑うつの合併・共存(comorbidity)についての文献レビューを行った。不安と抑うつは精神医学の基本的な概念ではあるが,不安と抑うつは様々な様態で重複することはよく知られている。近年の不安と抑うつの共存研究では,Cummingsら(2014)が提案した多重経路モデルが主流となりつつある。不安症である若者はうつ病のリスクが高いといった疾患の経路の観点から,共存について捉えようとする考え方である。文献レビューの結果から,不安と抑うつの合併・共存を考慮して,高不安者の記憶バイアスと実行機能の機能不全を検討する必要性が明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初の予定では,平成29年度に行った文献レビューの結果を踏まえて,高不安者の実行機能の機能不全を測定することが可能な実験課題の作成を行う予定であったが,実験実施まで行うことができなかった。その理由として,研究代表者が所属大学を移動したため,個別実験を行うための実験室を確保することができなかったことがあげられる。

今後の研究の推進方策

今後の研究の方針として,次の二点を重点的に行う。第一に,高不安者の実行機能を高い精度で測定する実験課題を作成する。第二に,その実験課題を用いて,長期記憶の効率性とワーキングメモリの柔軟性の関係性を検討する。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた大きな理由としては,実施予定であった個別実験を行うことができなかったため,人件費および謝金の使用額が予定額を下回ったことがあげられる。
未使用分については,今後実施予定の個別実験にかかる人件費および謝金に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 不安認知モデルからみた人間性心理学的認知モデル (自主企画 Gendlinの理論を基盤とした人間性心理学的認知モデルの検討―基礎心理学と人間性心理学の交差Ⅲ―)2018

    • 著者名/発表者名
      上田紋佳
    • 学会等名
      人間性心理学会第37回大会

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公開日: 2019-12-27  

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