研究課題/領域番号 |
17K13950
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
飯田 敏晴 立正大学, 心理学部, 特任講師 (50637923)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 援助要請スタイル / エイズ検査・相談 / 接触仮説 / エイズ検査・相談利用への利益性・障がい性認知 / 介入研究 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、援助要請スタイルに注目して、その特徴に応じた、効果的な体制周知策の検討と、検査相談体制の検討に注目することであった。エイズ検査・相談の「利用者増加」のための介入研究実施とその評価が大きな目的である。 これまでの主な研究成果は、スタイルの違いに関わらず「援助要請実行への効力感」が最も援助要請意図に強く影響を与えていた。一方で、そのスタイルの違いによって、特徴は異なっていた。まず「援助要請自立型は、検査・相談利用時の情報開示に抵抗感を覚える人程、効力感が弱まる」。次に「援助要請過剰型は、HIV感染想定時、自身が社会的に隔絶された自己となると予測する人程、効力感が弱まる」、最後に、人に一貫して援助を求めようとしない、すなわち「援助要請回避型」は、HIV感染想定時の自己の変容を否定的に予期し、かつ情報開示に抵抗感を覚える人程効力感が弱まる。そして、援助要請を実行の良い面を強調する」ことが有効な可能性を示した。 本年度は、上記の介入効果をより高めるために「利用への期待感」の向上、かつ「情報開示への抵抗感」を低める方略を検討した。研究1では、「既に利用者であるHIV陽性者をも含めた、アンケート調査の結果から「何らかの情報あるいはHIV陽性者との接触頻度」が多い程、「スティグマ認知」が弱める可能性を示した(調査1)。さらに、調査2では、これらの変数を加味した上で、再度、援助要請意図への規定因を検討した。詳細は解析中であるが、初期分析の段階では、概ね仮説通りの結果が得られつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目において「順調な進展」があった根拠として、調査研究において、一定数の、HIV陽性者(70名強)や検査・相談利用者からのデータを獲得できた点が挙げられよう。これによって、それ以外の者と利用行動(援助要請)の「意識比較」が可能となり、研究の最終的なアウトカムに向けて、大きな進展が得られた。次年度は、この成果に基づいて、引き続き事業を展開させていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究の全ての過程において、エイズ検査・相談の担当者との交流は続けており、3年目における介入実施に向けた環境は整いつつある。また、万が一、地域規模での介入研究が実現困難となった場合でも、一定の介入研究は行える状況にある。前年度の調査研究の成果の分析を6月を目処に進める。その上で、当年度の夏以降での介入実施に向けて準備していく。
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