本研究の目的は、援助要請スタイル(自立型、回避型、過剰型)に注目して、その特徴に応じた、効果的な体制周知策と検査相談体制の検討をすることであった。すなわち、 エイズ検査・相談の「利用者増加」のための介入研究実施とその評価が大きな目的である。 初年度での主な研究成果は、各スタイルに共通して「援助要請実行への効力感」が最も援助要請意図に強く影響を与えていた。そして、この援助要請実行への自己効力感を従属変数とした場合での説明変数は、各スタイルで異なっていたことが見出された。2年度目は、HIV/AIDSに関わる情報あるいは陽性者との接触頻度等を増やすことが、有効な介入策であることを示した。 以上の成果を踏まえて。最終年度である3年度目は、これまで先行研究(若手B:26780403)において介入効果があることが示されていた「エイズ検査・相談の利用方法」、「利用者の声」に加えて、新たに「陽性者の声」を加えた介入を実施にした。具体的には、これ3らつの介入条件の提示順序の違いよって、援助要請意図、利用行動およびそれらの関連要因の変化が、どのように異なっているのかを比較検討した。対象となったのは、20代から60代の成人男女であって、介入前、介入直後、1週間後での評価を行った。仮説は概ね支持され、概要執筆時点で詳細な報告書および論文を執筆中である。 本研究は、援助要請スタイルの特徴に応じた、エイズ相談利用を促進するための啓発メッセージ(介入方法の開発と評価)のための研究であって、研究計画立案時に期待した成果と、ほぼ同等の結果が得られたと考えられた。
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