研究課題/領域番号 |
17K13951
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
藤岡 勲 同志社大学, 心理学部, 准教授 (80611590)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 臨床心理学 / グローバル化 / 多文化主義 / 方法論 / multicultural counseling |
研究実績の概要 |
グローバル化が進んでいるにも関わらず、日本の臨床心理学では国際結婚家庭の構成員(①国際結婚家庭の親の立場にある者、および、②子の立場にある者)をはじめ、社会的マイノリティの実態は充分に明らかになっておらず、かれらに対する支援が困難な状況にある。本研究は、国際結婚家庭の構成員に対する心理援助を通して、①国際結婚家庭の構成員の課題および支援のあり方、②日本にあった多文化間カウンセリングのあり方、③事例研究を軸とした実践にもとづく研究法のあり方を示すことを目的とする。 平成30年度はまず、日本における国際結婚家庭の状況を理解するために、国際結婚夫婦の組み合わせに対する民族とジェンダーの交差性の影響を、日本全国・東京都区部・名古屋市・大阪市の1996~2015年統計データをもとに検討した成果を学会にて報告した。この過程を通して、国際結婚の組み合わせに対して、日本社会に通底するような民族とジェンダーの交差性の影響があることが示唆された。また、国際結婚の組み合わせに対して、エリア特有の影響があることも示唆された。 さらに、平成30年度は、間接的ながらも本研究課題と関連するものとして、書籍の分担執筆者として携わり、ナラティヴ・アプローチについて解説したものが発表された。この解説を通して、ナラティヴ・アプローチの理論的背景、心理援助における活用の仕方等が整理された。 上記以外にも、平成30年度は、本研究課題のための資料収集にも力を注いだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成30年度は、学内の倫理審査を経て、国際結婚家庭の構成員に対する心理援助にもとづく研究を開始する予定であった。しかし、年度途中に、平成31年度より他大学に赴任することが決まった。本研究課題では、国際結婚家庭の構成員に対する心理援助から得られる情報が主要なデータとなる予定である。しかし、支援を求める方々に対する募集活動に時間を要することが予想されることに加え、心理援助は一定期間に渡って行われることが一般的である。これらの点から、心理援助を受ける立場の方々に不利益が生じないよう、平成30年度の学内倫理審査の申請を見送った。その結果、遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、学内の倫理審査を経て、心理援助にもとづく研究を開始する予定である。また、引き続き、海外の動向把握にも努め、日本に合った多文化間カウンセリングのあり方についても検討する意向である。さらに、日本の国際結婚の実情の把握も引き続き行う計画である。加えて、事例研究法を軸としながら、一層の方法論に関する検討も行う考えである。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は、当初の想定よりも資料収集に費用がかからなかったことに加え、心理援助にもとづく研究を実施しなかったため、機材や録音/録画データの文字化等の費用もかからなかった。平成31年度以降は適宜、必要な資料や機材等の購入、および、録音/録画データの文字化等を行う予定である。
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