本研究は、僻地の中でも沖縄県の離島を取り上げ、現場の現象からボトムアップ的に理論を構築する仮説生成型研究の立場から、(1)各臨床領域(学校・教育、医療、保健・福祉、司法・矯正)でインタビュー調査を行い、包括的心理支援モデルを構築すること、(2)当事者たちと対話協働を行いながらモデルに基づいた効果的な実践方法を検討し、その知見を現場に還元すること、の2点を目的としている。これは、臨床心理学分野において殆ど検討されてこなかった僻地という地域性に注目し、在住者の心のケアの充実に直結する学術的・臨床的意義の高い先駆的研究である。平成30年度は、石垣島を研究対象地域とし、以下の4点に取り組んだ。 1.学校・教育領域におけるインタビュー調査の実施:スクールカウンセラーと学校教諭の協働的な心理支援の在り方についてモデル構築することを目的として、スクールカウンセラーを対象にインタビュー調査を行った。 2.学校・教育領域におけるモデルの実践方法の検討:平成29年度に生成した心理支援モデルをもとに、沖縄県主催の研修会において、スクールカウンセラーとモデルの課題や実践方法を検討した。さらに、研究成果の実践的な還元方法についても検討を行った(研究発表1)。 3.保健・福祉領域におけるインタビュー調査の実施:石垣市内の福祉機関において、心理支援に携わる職員を対象にインタビュー調査を行った。 4.医療領域における研究準備:石垣市内の医療機関において、心理支援に携わる職員に現状のヒアリングを行った。
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