研究実績の概要 |
研究計画に基づき以下の研究を行った。 1) 熱中と嗜癖の弁別に関して,新たにICD-11の診断基準に盛り込まれたゲーム症を切り口としてまとめ,以下の研修会で講演した(嗜癖行動症としてのゲーム症~心理学的理解と対応~,筑後かかりつけ医・産業医と精神科医連携研修~かかりつけ医・精神科医うつ病ネットワーク協議会,2019,久留米). 2) 嗜癖問題への心理療法的介入の方法論に関して心理教育に注目し,短期精神療法としての心理教育の意味づけについて考察した。精神科急性期治療病棟における集団心理教育および個人心理教育の枠組みと実施上の工夫について整理した。成果は以下の論文にまとめた(石田哲也・大江美佐里・内野俊郎. 精神科急性期治療病棟における当事者心理教育プログラムと実施上の工夫, 精神科, 36(1), 7-11, 2020). 3) アルコールや薬物等の物質だけでなく,ギャンブルやゲーム,インターネット,スマートフォン,買い物など様々な嗜癖問題に対応する汎用性の高い心理教育テキストを作成した。本テキストは物質使用障害等の診断に関わらず嗜癖問題を有する対象者に用いることができるものである。テキストには認知行動的アプローチおよび精神力動的アプローチが組み込まれており,このテキストを用いることにより様々な嗜癖問題に対して短期の精神療法的介入を行うことが可能となっている。成果は著書として公開する予定である。
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