研究課題/領域番号 |
17K13959
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
中島 美鈴 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 臨床心理士 (40788220)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ADHD / 成人 / 集団認知行動療法 / 時間管理 |
研究実績の概要 |
目的 成人期ADHD患者おいて、時間管理および整理整頓に関する実行機能を補うスキルを学習する集団認知行動療法を受けた人は、通常治療を受けた人と比べて、介入後(直後、2ヶ月後、6ヶ月後)のADHD症状の軽減および機能障害改善が優れているかを検討する中規模無作為化比較試験を実施した。 方法 対象は1)20歳以上65歳以下であり、 2)ASRSスクリーニング項目で4項目以上チェックがつき、3)成人用ADHD診断面接DIVAの診断基準を満たす、4)ADHD症状の重症度がCAARS日本語版のA(不注意/記憶)、E(DSM-Ⅳ不注意型症状)、G(DSM-Ⅳ総合ADHD症状)のいずれかで臨床域(T得点66点以上)で 5)精神科通院治療を続けて1ヶ月以上である患者であった。1)申し込み日の30日以内に精神科入院、2)8ヶ月間のプロトコール治療に参加困難、3)統合失調症、双極性障害、神経認知障害、物質関連障害は除外された。介入は、週に1回120分間のグループセッションを、8回実施した。毎セッションごとにホームワークを課した。介入群(24名)と通常治療群(24名)および同居の家族に対して,治療開始前,終了直後,終了2ヶ月後に主要評価項目CAARSを含む質問紙調査および盲見化された臨床家による面接およびfMRIが実施された。 結果 本プログラムでは,時間管理スキルを身につけ,ADHD症状の中でも不注意や衝動性の症状が本人評価で改善し,うつ・不安状態も改善していた。臨床家評定でも有意な効果を得られた。家族評価においては,終了時点では有意な改善が見られなかった。今後,2ヶ月後および6ヶ月後のデータを追加して分析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最も懸念された研究協力者の募集に関しては,多くの協力希望者の応募があり,順調に進行している。 また,介入プログラム中の脱落も,先行研究と比較して非常に低く,安全なプログラムを提供できている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度には, 1)これまで収集した介入前,終了時,2ヶ月後データにfMRIのデータを追加して,さらに詳細な検討を行う。 2)5月には,両群に対して,終了6ヶ月調査および面接を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
被験者の転居や身体疾患による入院などさまざまな事情で研究継続が困難となったケースがあり、支払い予定であった被験者への謝金や調査にかかる費用が,当初の計画よりも少なくなった。しかし、今年度はデータ入力依頼や成果発表のための英文校閲や旅費,追加個別インタビュー調査の必要も生じその謝金などの支出が見込まれるため,次年度に繰り越し使用する予定である。
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