目的:成人期ADHD患者に集団認知行動療法を提供する際には,最大33%の高い脱落率が見られることが知られている。この原因のひとつとして,1クールのセッション数が12.2回と長いことが考えられる。本研究の目的は,成人期ADHD患者を対象にした,単一技法の介入による1クール8セッションからなる集団認知行動療法の効果および脱落率を検討することである。 方法:成人期ADHD患者のうち24名を集団認知行動療法群へ,24名を通常治療群へランダムに割り付ける無作為比化比較試験を実施した(研究のプロトコールは,UMIN臨床試験登録システム(UMIN Clinical Trials Registry : UMIN-CTR,ID = UMIN000026916)に登録されている)。効果指標は,盲検化された臨床家評価,本人および家族によるADHD不注意症状であった。 結果:集団認知行動療法群における脱落率は4.2%であり,ADHD症状の有意な改善が見られた。 考察:本研究において脱落率を低くおさえることができたのは,時間管理スキルの単一技法による介入が奏効したと考えられる。単一技法にもかかわらず,先行研究と同等程度のADHD症状を改善する効果が得られた。
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