研究実績の概要 |
本研究では注意の抑制現象を実験的に作り出すパラダイムを用いて,注意が極端に少ない位置を作り出し,その位置に提示された刺激の認識プロセスについて検 討した。
今年度はコロナ状況下となり対面での実験を行うことが困難となった。そのため,オンライン実験に移行すべく環境構築を行なった。オンライン実験による環境は,これまでのように厳密な刺激統制を行うことは困難であるが,その一方で多様な参加者を募集し,現象の再現性や個人差を検討することが可能となる。そこで,当初予定していた心理物理実験を中心とした研究パラダイムから,ブラウザベースの行動計測実験を中心としたパラダイムに切り替えることで,本研究計画の目的達成を目指す。具体的には,昨年度に,視覚探索課題において半数の妨害刺激を先に提示し,残り半数とターゲットを追加提示するという探索課題(分割提示課題)で発見した分割提示コスト効果が頑健に生じる現象であるかを確認するためオンライン実験を行う。また,注意の抑制現象は,複数の注意現象が加算的に作用することが報告されており,現象の生起に刺激属性や参加者の個人差の影響が示されている(e.g., Osugi et al., 2016; Jiang et al., 2003)。そこで,より多様な参加者からデータを収集可能なオンライン実験下で,効果の再検証を行う。
また,昨年度に,APCV(The 15th Asia-Pacific Conference on Vision)2019と日本基礎心理学会第38会大会で発表した時間的な分節による干渉効果(分割提示コスト効果)については現在は国際誌に投稿すべく準備を進めている。
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