研究課題
若手研究(B)
本研究では注意が抑制された位置において物体認識プロセスのどの段階の処理が不全になるかについて明らかにすることを目的とした。実験パラダイムの最適化のための基礎的な知見の蓄積,局所的な特徴検出に及ぼす影響の評価,作業記憶への符号化に及ぼす影響の評価,現実場面に近い状況における評価,知覚的分節による処理不全を考慮に入れた評価を行なった。実験の結果,非注意位置での見落としは知覚的な干渉が生じる事態で起こりやすく,作業記憶の符号化など高次の処理からのフィードバックプロセスが不全になる可能性が示唆された。
実験心理学
本研究の学術的意義は注意が向いていない状態での物体認識プロセスの特性を定量的に評価した点である。これにより視覚情報処理が注意による修飾を受けずにどのように行われるかを検討するための知見を蓄積することができた。社会的意義は,非注意位置でのパフォーマンスの低下がどのような方法で向上するかの検討につながる可能性があり,最終的には利便性が高く操作エラーの少ないユーザーインターフェースの開発の一助となる点である。