本研究では3DCGを用いて描画された顔画像を用い、顔向き変化に伴って生じる目領域の画像情報の変化とそこから知覚される視線方向の詳細な関係性を検討した。本研究の結果から、左右眼の収束で織りなされる輻輳角の状態が顔向き変化に伴って生じる視線知覚のバイアスの生じ方に影響することが示された。また、瞳孔・虹彩の相対的位置情報は瞼に遮蔽された瞳孔・虹彩部を補完して全体を知覚する非感性補完の過程をへて達成されている可能性が示唆された。一方で、乳児を対象とした選好注視法による実験結果は、乳児が画像から取得される情報の確実性の差異に応じて乳児が柔軟に情報の利用の仕方を変化させることの証拠はもたらさなかった。
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