研究課題/領域番号 |
17K13964
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西村 方孝 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80613398)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オペラント条件付 |
研究実績の概要 |
本年度は、実験動物の音声に対する認知の確からしさを動物の行動から定量的に評価するための実験プロトコル及び解析手法の確立を目指して動物実験を行った。実験にはモルモットを用い、動物の行動を引き起こすための音声としては、ヒトに対する心理実験で用いた音声の帯域とほぼ同等の帯域(500 Hz±0.25オクターブ、13.5 kHz±0.25オクターブ)の帯域雑音を用いた。既存の古典的条件付やオペラント条件付では、動物の認知の確からしさを評価しても高い確からしさが得られないことが見積もられたことから、本研究では、適応的条件付パラメータという考え方を新しく導入し、動物が提示された音声に対して正確な時間に行動させることを目標に実験及びプロトコルの改善を進めていったところ、動物の行動から算出される認知の不確かさが5%未満であることを数学的に保証する手法を確立した。 動物は言葉で実験者に認知の結果を伝えることが困難なので、動物の認知は、その行動からしか客観的に評価することができない。脳で行われている音声周波数統合と、その統合によって引き起こされた認知を行動から評価することは、その仕組みを解明する上では欠かせないものであると言える。今年度の研究によって、実験動物の音声に対する認知の確からしさを客観的かつ定量的に評価する実験手法が確立されたことは、次年度の研究のみならず、動物モデルを用いた認知に関する実験全体への貢献につながると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度以降に計画されていた動物実験では、動物の脳で行われている音声認知の客観的な評価が重要な要素の一つとなっている。その重要な要素の一つが実現可能なものとなり、次年度以降の研究を進める上での基礎が完成した。
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今後の研究の推進方策 |
動物の認知を統計学的に評価するためには、十分なオペラント条件付がなされた動物の数が必要になり、電極の埋め込みなどの侵襲性が高い実験を推進していくためには、より多くの数が必要になると考えられる。オペラント条件付のさらなるプロトコルの改善を行い、現状の2ヶ月程度の条件付期間を更に短縮し、1ヶ月程度の条件付期間で、認知の確からしさを動物の行動から定量的に評価できるようにすることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規に確立した実験手法に関する論文の執筆に時間を要し、出版費の支払いが次年度になり、使用する動物の数も当初の予定より少なくなったため。
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