本研究の目的は,急性ストレスによる内分泌反応の経時的作用が価値評価に与える影響を検証することであった。これを検証するため,選択とフィードバックを繰り返し価値の高い選択肢を学習する随伴性学習に焦点を当て,ストレス負荷直後と90分後で比較を行った。その結果,急性ストレス負荷90分後に「損失」が強調された状況下において,より最適な選択を選びやすいことが明らかとなった。また,この長期作用にストレス負荷によって生じたコルチゾール反応が関与することが明らかとなった。このことから,ストレスの長期作用によって,損失場面に対する評価的処理が促進した可能性が示唆される。
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