研究課題/領域番号 |
17K13968
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
真田 原行 関西学院大学, 文学部, 研究員 (40734041)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ワーキングメモリ / 空間情報 / 注意 / EEG / ERP |
研究実績の概要 |
まず、令和2年度に行った脳波測定実験(以下、実験A)の研究データの分析を行った。この実験では、色や図形の組み合わせである物体を記憶する作業記憶の検索プロセスにおいて、空間的注意が役割を持つのかについて、事象関連脳電位(ERP)を用いて検討した。結果、物体(色と図形)の作業記憶検索プロセスでは、色のみを記憶する作業記憶の検索プロセスよりも、大きなN2pcが観察された。N2pcは空間的注意を反映するERPであり、この結果は、物体作業記憶の検索プロセスにおいて、色作業記憶の検索プロセスよりも空間的注意がより重要な働きをしていることを示唆する。この研究成果については、国内学会(日本心理学会第85回大会)において発表した。令和4年度にはこの成果を国際学会において発表することがすでに決定している。 また、この研究をさらに発展させる目的で、新たな脳波測定実験を開始し、10名のデータをとり終えた(以下、実験B)。実験Aでは、物体作業記憶の検索プロセスにおいて大きなN2pcが生じることを示したが、このN2pcの出現は、(1)想起すべき項目の場所に空間的注意を強く向けた可能性、(2)想起すべきでない項目の場所へ空間的注意を向けることを抑制した可能性、(3)その両者、のどれかを示している。そのため、この実験Bではそれら可能性を区別できるよう実験手続きを工夫した。次年度(令和4年度)は、この10名のデータを分析し、データに問題がなければ実験を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験Bは、令和3年度中にデータ取得を完了する予定であったが、実際には10名にとどまった。これは令和3年度途中から、他に採用されている特別研究員の研究計画に伴い国外の大学へ滞在を始めたため、本研究計画を遂行するために十分な時間を割くことができなかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
リサーチアシスタントを雇用し、実験Bの実施を依頼する。リサーチアシスタントに雇用する者は既に決定しており、十分な脳波測定実験実施の経験を持つことから、問題なく実験Bを完遂できると予測している。 また、実験Aの内容については、国際学会での発表を行い、かつ国際誌へ投稿するための原稿を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
特別研究員の研究計画に伴う国外滞在により、研究Bのデータ取得を完了させることができなかった。そのためその実験実施に必要と見込んでいた経費が残った。また、新型コロナウイルス感染症流行のため、学会大会もオンライン開催となり、見込んでいた旅費を全く使用しなかった。これらの理由で次年度使用額が生じた。 この次年度使用額は、実験Bの完遂のための被験者謝金、リサーチアシスタント雇用費用等として主に使用する。また実験Aの内容を国際学会で発表するための旅費としても使用する
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