今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、当初の計画通り、一致、不一致刺激で生じる抑制条件下での様々な波長の光点検出を主に行う。Permanent Suppressionによる一眼の抑制と視野闘争によって生じる一眼の抑制が異なるものであるとする先行研究(Ridder, Smith, Ronald, Harwerth, & Kato, 1992; Ooi & Loop, 1994)があり、特に視野闘争の場合にはS錐体が処理する短波長の抑制が顕著に生じ、Permanent Suppressionでは、そのような傾向は認められていない。このことは、一見類似している両者において、両眼間の抑制メカニズムが異なることが示唆される。しかし、先行研究では、両条件の比較で大きく異なる刺激を用いていたため、結果の違いが「刺激」あるいは「抑制のメカニズム」のどちらの違いによるものか明確にはわからない。本研究で用いる刺激は一致刺激はPermanent Suppression事態、不一致刺激は視野闘争事態と類似する刺激条件となり、また、刺激の成分としては一致、不一致で同様となる条件を用い、先行研究の波長による光点検出感度の違いを再検討する。 併せて、平成29年度の研究において疑問として生じた抑制の「時間」と「強度」の違いについても解明するために実験を行う。 研究の最終年度となるため、平成29年度の研究結果も踏まえて、両眼間抑制のメカニズムについてモデル化を試みる予定である。
|