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2018 年度 実績報告書

自己と他者を分離・結合する計算論的脳モデルとその精神病理学的個人差

研究課題

研究課題/領域番号 17K13971
研究機関株式会社国際電気通信基礎技術研究所

研究代表者

浅井 智久  株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (50712014)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード自己感 / 予測誤差 / 内部モデル
研究実績の概要

背景:近年,「自己意識の科学」が積極的に進められている。その応用的な検討課題として,統合失調症症状や脳損傷患者の主観体験のメカニズム解明が挙げられる。幻覚や妄想などの陽性症状は,身体運動制御の計算論モデルの中でも,予測系の問題と想定される。そこで運動フィードバックの自他帰属課題を用いることで,自他帰属の弁別力やフィードバックコントロールの精度の個人差を特定する。また,これらのパフォーマンス低下は,脳の特定の領域の機能不全が原因であることを考えると,TMSやtDCSといった方法による非侵襲的な脳機能の一時的な阻害により,健常者であっても類似した現象を再現できる可能性がある。
研究1「自己感の複数指標の個人差」:今まで開発してきたペンタブレットを用いた運動課題や,主観的な自己感を評価する質問紙尺度を実施することで,その指標に影響しうる個人差を検討することが可能である。その結果,妥当な視覚フィードバック課題の開発や,尺度による脳損傷患者の回復過程の評価を行った。
研究2「脳活動の非侵襲的な阻害の効果」:研究1で検討した個人差は,脳の特定の領域の機能不全である可能性が高い。そのため,右の側頭頭頂連合野をターゲットとしたTMSおよびtDCSによる機能阻害を導入したところ,自他帰属のレーティングが不正確になるという結果が明らかとなった。
重要性:これらの研究によって自己の身体・運動表象のメカニズムが脳の機能と結びつく形で解明されれば,私たちがどのように自己と他者を区別し,また同時に自己と他者をつないで 認識しているのか,私たちの社会的機能の基盤および精神病理学的な個人差についての理解が深まると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Individual differences and the effect of face configuration information in the McGurk effect2018

    • 著者名/発表者名
      Ujiie Yuta、Asai Tomohisa、Wakabayashi Akio
    • 雑誌名

      Experimental Brain Research

      巻: 236 ページ: 973~984

    • DOI

      10.1007/s00221-018-5188-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Voluntarily controlled but not merely observed visual feedback affects postural sway2018

    • 著者名/発表者名
      Imaizumi Shu、Asai Tomohisa、Hiromitsu Kentaro、Imamizu Hiroshi
    • 雑誌名

      PeerJ

      巻: 6 ページ: e4643

    • DOI

      10.7717/peerj.4643

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Measuring the sense of self in brain-damaged patients2018

    • 著者名/発表者名
      Hiromitsu Kentaro、Asai Tomohisa、Saito Shoko、Shigemune Yayoi、Hamamoto Kanako、Shinoura Nobusada、Yamada Ryoji、Midorikawa Akira
    • 雑誌名

      Medicine

      巻: 97 ページ: e12156

    • DOI

      10.1097/MD.0000000000012156

    • 査読あり

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公開日: 2019-12-27  

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