本研究は、教育内容の政治的中立性を維持するためにどのような制度設計や学校での教育課程や授業づくりがなされているのかについて、オーストラリア、カナダの2カ国を比較分析することで、現在の日本の学校教育において政治的中立性を維持するための具体的モデルを提案することを目的とした。社会に存在する多様なものの見方、価値、事実の複雑性と対立点を反映することによって教育内容の政治的中立性を担保するというモデルを示すことができた。それに加え、いかなる内容であっても、知識が社会的、政治的に構築されているものとして学んでいくことを重視する教育実践レベルでの政治性の編み直しが不可欠であることも提示した。
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