本研究は、オランダのオルタナティブスクールを中心として取り上げることで、授業・カリキュラム・学校レベルをつなぐ教育評価や質の維持・改善方策を見出すことを目的としている。令和2年度は、新型コロナウイルスの影響により、オランダを訪れることはかなわなかったが、これまでに収集してきた資料等をもとにして、主として次のことに取り組んだ。
1つ目は、オランダのモンテッソーリスクールの教育の質の評価に関する研究である。具体的には、オランダモンテッソーリ教育協会が、公教育としての質を満たすことに努めながら、いかにモンテッソーリ教育としての質を評価し、その質を維持・改善しようとしているかについて検討を行った。その際、オランダモンテッソーリ教育協会が実施する学校評価である訪問視察や、そこで評価される授業レベルでの子どもの学習の評価等に焦点を当てた。この成果については学会発表を行った。今後学術論文として刊行する予定である。 2つ目は、オランダの教育評価に関する本研究知見をもとに、オランダの教育評価制度について、その特徴を整理した。 3つ目は、本研究を通じて得られたオランダの教育に関する総合的な知見をもとに、書籍等でオランダの教育に関して発信してきたことである。具体的には、オランダの憲法で保障されている「教育の自由」や、オランダのカリキュラムの特徴を概説した上で1つの例としてイエナプラン教育について紹介したり、オランダの中等教育修了資格試験の特徴を整理した上で、それがどのようにオランダで受け止められているのかについて検討を行ったりしたことなどがあげられる。
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