研究実績の概要 |
折り紙は日本においては、フレーベルの幼児教育理論を導入した頃から保育教材として馴染みの深いものであり、折り紙遊びの歴史や幼児教育における位置づけなどを論じた先行研究は複数存在する(五十嵐,2012; 福井, 2003)。しかし、子どもの折り紙技術の発達についての実証的な研究は筆者が知る限りほとんどない。一方、現場においては、幼児の能力の個人差に合わせて折り紙を指導することの難しさが指摘されている(岩瀬, 2010)。本研究は幼児期の折り紙構成能力の発達の様相を明らかにし、折り紙遊びの援助の方法や教育的効果を検討することを目的としたものである。 折り紙遊びは空間的思考力を用いるとともに(Taylor, 2013)、微細な操作能力も必要とされる(奥住他, 2007)。三角折りなどの折り技術の正確性については、筆者の研究により、3歳児から5歳児までを対象として検討したところ、3歳児から4歳児の間で大きく向上することが見出されている。折り技術の正確性も含め、折り紙構成能力の発達の様相を明らかにするためには、その能力を測る課題を作成することが必要となるが、当該年度においては、筆者の妊娠に伴う状況変化により、実験参加者を募って検討を行う予備的研究は実施できなかった。当該年度は、空間的認知能力および空間的思考力の発達に関する文献や折り紙教本より、実験に用いる課題を検討し、今後、実験参加者を募ってデータを取得するための準備を行った。
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